2018年12月11日火曜日

アトピーのバイオ製剤は、乾癬のバイオ製剤とどう違うのか?

諸先生方のご紹介のおかげで、現在、乾癬のバイオ製剤の患者様の数は阪神間で当院がトップクラスとなっております。さて、さらにアトピー性皮膚炎でも、バイオ製剤であるデュピクセント希望で当院に多数のアトピー性皮膚炎の患者さんをご紹介いただき、ありがとうございます。こちらの処方数も月によっては全国大学病院でも多い方になるくらいの症例数となっており、医師だけで無く看護師も含めてスタッフ全員、かなりバイオ製剤になれてきたと思います。

さて、本日はお願いがございます。
ご紹介いただいたアトピー性皮膚炎の患者さんは、引き続き貴院に通院いただき、徹底した外用指導をお願い申し上げます。

 実は、この点が勘違いされている患者様が多く・・・・たしかに乾癬のバイオ製剤は、どの製剤も効果が十分に高いので、外用剤なしでも乾癬が綺麗になってしまいます。したがって、外用するのが苦手な患者さんにも乾癬のバイオ製剤が向いているということも出来ます。

 一方、アトピー性皮膚炎のバイオ製剤(デュピルマブ、抗IL-4/13受容体抗体)は、ステロイド剤と併用して初めて効果があります。具体的に治験データを見るとデュピクセント単剤だけでは、あまりアトピー性皮膚炎は治りません。そして、ステロイド剤をバッチリ16週間外用するとアトピー性皮膚炎スコア(EASI)は49%減少します。外用で皮膚炎は半分くらいになるということです。ここで、デュピルマブと併用するとスコアが80%減少していると報告されてます。これは今までに無かった画期的なデータが治験結果として報告されているようです。これは、単純化して例えると、デュピルマブは、ステロイド剤が二倍効くアイテムと言うことができると思います。なので、ドラクエの話で盛り上がった患者さんに、デュピクセントはドラクエで言うとバイキルトの呪文のようなものです、ステロイドの攻撃力が倍になります、ラスボスであるアトピーを倒せる可能性が高くなります、と説明していたら、隣の医師にドン引きされました(笑)。

しっかり皮膚炎を抑えて寛解状態にすることが、アトピー性皮膚炎では大切と考えられています。いったん寛解すると再発しにくい患者さんも経験します。注射すれば外用しなくて良くなるのではないかと期待される患者さんが多いのもわかるのですが・・・乾癬のバイオ製剤(注射)は外用しなくてもいいかもしれませんが、アトピー性皮膚炎の注射は、外用ステロイドと併用するのが大切になります。そして皮膚炎がほとんど無い状態が達成できれば、その状態が長期間維持できるかもしれません。