2018年2月27日火曜日

今井の総説が、日本皮膚科学会雑誌に掲載されました

兵庫医大皮膚科では、非常に多くの乾癬の患者さんが多く通院されておりますが、実は、アトピー性皮膚炎の診療も積極的に行っております。今井が執筆したアトピー性皮膚炎の研究に関する総説が、日本皮膚科学会雑誌の今月号(128巻第2号=2018年2月20日発行)に掲載されておりますので、お持ちの先生は、是非ご覧ください。また、重篤な乾癬患者さんと、アトピー性皮膚炎患者さんには、新しいバイオ製剤などの新薬(保険適用のもの、治験のもの)がございますので、ご紹介のほど、よろしくお願い申し上げます。




2018年2月25日日曜日

眼科の講演会でアトピー性皮膚炎について講演してきました

今井です。
あまり無いパターンなのですが、眼科の講演会に講師として呼んで頂きました。メイン講師は、あのアレルギーで有名な眼科医の、深川先生です!!
アトピー性皮膚炎を診察する皮膚科医が最も気にするのは、眼症状のケアではないでしょうか?要するに、ちゃんと眼科に行ってくれない患者さんに苦労するということです。これは逆もあって、眼が見えなくなったので眼科には行くんだけど、皮膚のアトピーはどうせ治らないから(どうせステロイドが処方されるだけだから)皮膚科には行かないという患者さんもいるようです。

いえいえ、時代は進歩して、様々な治療がアトピー性皮膚炎にはございます、ということが眼科の先生にも興味を持って頂けたようで、非常に嬉しく思います。また、このように、他科から講演の機会をいただけることも、非常に感謝しています。





2018年2月22日木曜日

妊婦の乾癬 「道端アンジェリカ、第1子妊娠を報告」

モデルの道端アンジェリカさんが自身のインスタグラムで、第1子妊娠を報告したそうです。道端アンジェリカさんは、昨年自身の乾癬のカミングアウトをされて皮膚科医の間で有名になっています。

ということで・・・時々、妊娠中の乾癬の増悪や、妊婦さんの膿疱性乾癬について、日本皮膚科学会評議員レベルのご高名な先生から、わざわざ対応の御相談を頂いたりしておりますので、今日は「妊婦の乾癬」について、少し書きたいと思います。そう言えば、ミヤネ屋の放送の中では、妊娠中の治療については宮根さんからは何も聞かれませんでしたね。

そもそも、妊娠中は使える薬が限られます。特に「チガソン」という薬は、妊娠中には使えません。また、レミケードなどは、胎盤移行性があり、新生児に問題が起きることも報告されています(赤ちゃんの免疫抑制での感染例)。
しかし、逆に妊婦さんにも安全に使用できる可能性が高い治療法として、胎盤移行性の少ないバイオ製剤だけでなく、当科では、妊娠中に内服可能な薬剤に加え、顆粒球単球吸着療法(granulocyte and monocyte adsorption apheresis:GMA)を積極的に行うなど、妊娠中の乾癬患者の治療経験を持っております。ただ、GMAは、どの施設でも実施できるわけではないのが現状です。妊婦の乾癬でお困りの先生は、乾癬外来まで御相談下さい。


2018年2月11日日曜日

アトピー性皮膚炎治療研究会で講演させていただきました。


いつもブログを拝見してくださるご開業の先生方、ありがとうございます。

大変有り難いことに、埼玉医科大学皮膚科の中村晃一郎先生を会長とするアトピー性皮膚炎治療研究会第 23 回シンポジウムで、アトピー性皮膚炎の再診の研究知見と治療に関して、講演させていただきました。

また同時に、東京慈恵会医科大学小児科の堀向健太先生と、かなり長時間お話できる機会を得ることが出来ました。堀向先生は小児科ですので、生後数ヶ月以内の赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の患者さんを診療する機会が多いことを生かし、新生児期からの保湿剤の塗布がアトピー性皮膚炎の新規発症を抑制することを科学的に証明した先生です。

この学会に参加して個人的に勉強になったことも多く、例えば、国際的な評価基準が統一され、今後は皮疹の評価として SCORADではなくEASIを用いることになったわけですが、その投票結果が90%対7%で圧倒的な差でEASIを用いるという国際的なコンセンサスに至ったそうです。これほどまでに差があるとは思っていなかった(国内ではSCORADを使用している先生も多い)のですが、もっとも、乾癬患者さんが圧倒的に多い私の外来ではPASIスコアを毎回付けているので、PASIに慣れた私にとってはEASIのほうが付けやすいです。乾癬のバイオ製剤とアトピーのバイオ製剤の両方の投与経験から言うと(個人的な経験であって医学的根拠はありません)、アトピーのバイオ製剤は乾癬より効かないというわけではなく、これはスコアの性質が異なるせいであって、極端な言い方をすると、PASI75達成=EASI50達成くらいのイメージで文献をとらえると良いかと個人的には考えています。

アトピー性皮膚炎患者さんは(乾癬もですが)、ストレスで皮疹が悪化というよりも、皮膚炎で痒いことそのものがストレスなわけですから、やはり、しっかり本気で治すということが大切だということを再認識しました。

アトピー性皮膚炎は、いろいろ新しい治療法が登場するため、今、皮膚科では話題の疾患です。当院でも重症のアトピー性皮膚炎の患者さんに対する抗IL-13抗体の治験を実施中(まだエントリー可能ですが、18歳以上のみ)ですし、抗IL-31受容体抗体の治験もありますし(こちらは重症ではなくてもエントリー可能。13歳以上)、この春にはバイオ製剤の市販も予定されています。


諸先生方におかれましては、いつも重症の乾癬患者さんをご紹介いただき、ありがとうございます。引き続きまして、治験にエントリーできそうな重症のアトピー性皮膚炎の患者さんも、ご紹介のほど、よろしくお願い申し上げます。なお、治験にエントリーできなくてもアトピー性皮膚炎患者さんへのシクロスポリン内服療法も積極的にさせていただいております。