2018年6月18日月曜日

内科の先生にお願い。まずは近くの皮膚科クリニックに紹介してください。

内科の先生にお願いです。

普通は大学病院の皮膚科は、皮膚科クリニックさんから患者さんをご紹介いただくことが、ほとんどでした。
ところが・・・ここのところ、軽症の皮膚病患者さんが開業の内科クリニックさんから直接、兵庫医大皮膚科に紹介されてきてしまう例が激増しています。
内科の先生がどこまで皮膚科に詳しいかは幅があるので何ともいえませんが(皮膚科が得意な内科の先生もたくさん存じ上げております)、明らかに紹介元の内科の先生がまったく皮膚科の基本的な知識がないのだと推測できるレベルの症例、つまり、普通に隣の皮膚科クリニックに行ってもらったら解決するような一般的な皮膚症状の紹介が、内科から相次いでおります。これは非常に好ましくありません。3時間も待ったのに処方が軟膏1本だけ?などと、トラブルの原因にもなります(でもそれで治るわけですが・・・)。大学病院の使命は難治な患者さんや入院加療を必要とする患者さんの治療です。明らかに見た目は軽症なのになぜか難治という皮膚病は、それは診断が間違っているだけである可能性が高いですから、もし可能でしたら、まずは、お近くの皮膚科クリニックにご紹介下さい。普通の皮膚科の医者がみたらなんてことはない、という例がきっと、ほとんどなのだと思います。大変申し訳ありませんが、ご理解のほどお願いいたします。

・・・でも、すごい皮膚科が得意な内科の先生もいらっしゃるので、絶対に内科から紹介状は受け付けないとかいう意味では決してございません!内科のX先生、いつもご紹介ありがとうございます。

2018年6月17日日曜日

新しい乾癬の治療薬の発売です。

 今日の話題は、乾癬の新薬です。

 乾癬は毎年新薬が出るホットな分野なわけですが、このたび、新しい乾癬の注射の治療である「トレムフィア」が新発売となり、兵庫医大 皮膚科 乾癬外来でも使用可能となりました。いままでのバイオ製剤で最も投与間隔が長かった薬は「ステラーラ」で、3ヶ月に1回の投与ですが、「トレムフィア」はそれに近い、2ヶ月に1回の投与という注射薬になります。効果はステラーラよりも高いというデータなのですが、通院間隔が短くなってしまうので、実情としては一長一短ということになります。乾癬の治療で日本でも保険適応のある注射薬がこれで7剤になりましたが、当院の乾癬外来では、この7剤すべての投与に対応しております(7剤すべて、投与実績がございます)しかし、結局どのバイオ製剤も一長一短なので、どの薬にするのかは、患者さんと一緒に相談しております。いずれにしても、注射のバイオ製剤ですとヒュミラやルミセフのように2週間に1回注射というのがスタンダードなイメージがあるかと思うのですが、忙しい患者さんには2ヶ月に1回とか3ヶ月に1回の通院で済む注射のバイオ製剤もあります(しかも土曜日に投与可能です)ので、諸先生方におかれましては、お仕事で忙しい患者さんでも当院にご紹介いただければ幸いです。

保険が効く乾癬のバイオ製剤(注射)7剤リスト(医師向け)

トルツ
ルミセフ(←このリンクをクリックした先のページで「医師」をクリックしてからいったん戻り、再びこのリンクをクリックしてください)
トレムフィア


2018年6月13日水曜日

アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインが一般公開されているのはご存じでしょうか?

最近妙に、アトピー性皮膚炎の不適切治療が復活してきていると感じており、とても残念です。アトピー性皮膚炎はガイドラインや治療手段が確立された疾患であり、ここ最近5年はガイドラインによる標準的な治療もすっかり浸透し、本当にひどいアトピー性皮膚炎が激減したなと感じていたはずなのですが・・・そうでもなかったようで。正確に言うと、大手検索サイトのトップページの記事をはじめ、不適切なアトピー性皮膚炎の情報が今年からインターネット上に激増していると思います。ネット上で不適切な情報を増やすことで、わざと適切な情報を覆い隠すイメージでしょうか・・・せっかくの標準治療から患者さんをわざと不安にさせて引き剥がそうという記事が氾濫していると感じます。つまり、もはやアトピー性皮膚炎の患者さんはネットは見ない方がいい?くらいの状態になっている気がします。また、アトピー性皮膚炎の患者さんは、患者さんと患者さんで(SNSなどで)話をすると、なぜか間違った方向性に行ってしまう、またはそのようなアトピー系SNSに悪徳業者が紛れていることがあるようです。

では正しい情報はネットのどこにあるかというと、例えば、アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインはネットで誰でも読めます(こちら(ただし近日アップデートされる予定です)。これを読んでいただければ、概ね、どのような情報が無茶苦茶なのかは一目瞭然となりますので、患者さんの持ってくる不適切な話に振り回されないですむと思います。確かに、医療には必ず例外があって、保険適用外の治療がどうしても必要になることや、アトピー性皮膚炎以外の内科疾患のある患者さんの場合には使いたい薬が使えないこともあるなど、必ずしも全例がガイドラインで提唱されている治療ができるわけでもありませんが、最近時々内科の先生から連絡を頂くので、、、、ついでに皮膚科も診察されている内科・外科の先生方におかれましては、ぜひ皮膚科のアトピー性皮膚炎のガイドラインを、ご一読いただければ幸いです。