アトピー

アトピー性皮膚炎の最新の治療(JAK阻害剤やバイオ製剤による治療)

■デュピクセント
アトピー性皮膚炎の原因が解明されつつあり、アトピー性皮膚炎に対するバイオ製剤「デュピクセント」(注射薬)を用いた治療が、一般的になってきました。アトピー性皮膚炎のスコアが16週間で80%減少します(治験データ)。2週間に1回の注射となり、通院が必要なのが難点です。ステロイド剤を外用しても治らない患者さんが保険適応となりますが、高価な治療になるのが残念なところです。
詳しい皮膚科医向けの説明はこちら→https://www.dupixent.jp/
デュピクセントについて、説明した記事はこちら。
今までに受診された患者さんからよく聞かれたQ&Aをまとめたのは、こちら。

オルミエント、リンヴォック new
デュピクセントでもアトピー性皮膚炎の顔面皮疹が治らない患者さんなど、重症なアトピー性皮膚炎の患者さんに、当院では内服JAK阻害剤「オルミエント」や「リンヴォック」を処方しております。副作用管理は、基本的には乾癬の生物学的製剤と類似した内容になりますので、アトピー性皮膚炎だけではなく、乾癬のバイオ製剤の処方経験が豊富な当院では、リンヴォックにも対応致します。



アトピー治療の進化は次の7点です(もはや、10年前と治療がかなり違います!)

※下記の1から7は、すべて保険適応です

1) 内服JAK阻害剤「オルミエント」「リンヴォック」の登場

2) バイオ製剤「デュピクセント」の登場(2018年4月〜保険適応)費用は3割負担で5万円/月くらい。

3) 従来からの、シクロスポリン内服療法 3割負担で1〜2万円/月

4) 重症度マーカーの登場:重症度が数値で「見える」ようになった(採血によるTARC値検査)

5) 改善後の良い状態を従来よりずっと長くキープできるようになった(プロアクティブ療法)

6) 保険で出せる保湿剤の効果や塗り心地が進歩した

7) ステロイド外用剤の効果的な塗り方がわかってきた(フィンガーチップユニット)



当院で行っている治療は、いわゆる学会のガイドラインに基づく「標準的な治療」ですが、実は、その標準的な治療が10年前とは異なったものに進化してきています。当院では最新のエビデンスに基づいた最先端の治療が出来るように心がけています。なお、アトピー性皮膚炎の酒さに伴う顔の外用剤(塗り薬)の一部に関しては、残念ながら我が国では保険適応外となります。その場合、診察代も含めて全て自費になります。

重症の成人アトピー性皮膚炎の患者さんにデュピクセントが高額だと考える患者さんには、シクロスポリンの処方にも、対応しています。

重症のアトピー性皮膚炎でもシクロスポリン (cyclosporin) という飲み薬が以前から用いられていました。シクロスポリンの特徴は、単に湿疹を抑えるだけではなく、痒みを強力に抑えることにあります。効果も高いのですが副作用も問題で、特に腎臓が悪くなるなどの副作用を避けるため事前の血液検査が必要ですので、通常の皮膚科クリニックでは処方していないところもあります。当院では採血検査の結果がその日のうちに判明するのを利用して、副作用の発生の予防に努めています。シクロスポリン内服は保険適応の治療です。ただ、長期の内服では腎障害や易感染性の問題もあり、今後はバイオ製剤の適応が広がってくることも予想されます。


担当医の退職について
長年続けてきたアトピー・乾癬外来ですが、2021年10月から、担当医である今井医師が大阪市内で開業(野田阪神駅前いまい皮フ科小児皮フ科アレルギー科 )のため、兵庫医科大学は非常勤となります。兵庫医科大学での専門外来における再診枠は月2〜3回に減りますので、地域医療経由での今井の初診予約を終了しました。診察日にご注意くださいませ。

※漢方治療希望の患者さんは、火曜日の夏秋先生を受診してください。
詳しくは公式サイトをご覧ください。