2018年2月11日日曜日

アトピー性皮膚炎治療研究会で講演させていただきました。


いつもブログを拝見してくださるご開業の先生方、ありがとうございます。

大変有り難いことに、埼玉医科大学皮膚科の中村晃一郎先生を会長とするアトピー性皮膚炎治療研究会第 23 回シンポジウムで、アトピー性皮膚炎の再診の研究知見と治療に関して、講演させていただきました。

また同時に、東京慈恵会医科大学小児科の堀向健太先生と、かなり長時間お話できる機会を得ることが出来ました。堀向先生は小児科ですので、生後数ヶ月以内の赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の患者さんを診療する機会が多いことを生かし、新生児期からの保湿剤の塗布がアトピー性皮膚炎の新規発症を抑制することを科学的に証明した先生です。

この学会に参加して個人的に勉強になったことも多く、例えば、国際的な評価基準が統一され、今後は皮疹の評価として SCORADではなくEASIを用いることになったわけですが、その投票結果が90%対7%で圧倒的な差でEASIを用いるという国際的なコンセンサスに至ったそうです。これほどまでに差があるとは思っていなかった(国内ではSCORADを使用している先生も多い)のですが、もっとも、乾癬患者さんが圧倒的に多い私の外来ではPASIスコアを毎回付けているので、PASIに慣れた私にとってはEASIのほうが付けやすいです。乾癬のバイオ製剤とアトピーのバイオ製剤の両方の投与経験から言うと(個人的な経験であって医学的根拠はありません)、アトピーのバイオ製剤は乾癬より効かないというわけではなく、これはスコアの性質が異なるせいであって、極端な言い方をすると、PASI75達成=EASI50達成くらいのイメージで文献をとらえると良いかと個人的には考えています。

アトピー性皮膚炎患者さんは(乾癬もですが)、ストレスで皮疹が悪化というよりも、皮膚炎で痒いことそのものがストレスなわけですから、やはり、しっかり本気で治すということが大切だということを再認識しました。

アトピー性皮膚炎は、いろいろ新しい治療法が登場するため、今、皮膚科では話題の疾患です。当院でも重症のアトピー性皮膚炎の患者さんに対する抗IL-13抗体の治験を実施中(まだエントリー可能ですが、18歳以上のみ)ですし、抗IL-31受容体抗体の治験もありますし(こちらは重症ではなくてもエントリー可能。13歳以上)、この春にはバイオ製剤の市販も予定されています。


諸先生方におかれましては、いつも重症の乾癬患者さんをご紹介いただき、ありがとうございます。引き続きまして、治験にエントリーできそうな重症のアトピー性皮膚炎の患者さんも、ご紹介のほど、よろしくお願い申し上げます。なお、治験にエントリーできなくてもアトピー性皮膚炎患者さんへのシクロスポリン内服療法も積極的にさせていただいております。