2018年9月21日金曜日
The Journal of Investigative Dermatologyに論文が掲載されました
今井がLast authorの論文が、皮膚科でもっとも権威のある雑誌の一つである米国The Journal of Investigative Dermatologyに掲載されました。短いレターですけど。
内容は、例によって東海大学皮膚科教授の馬渕 智生先生の実験の流れを継いだ研究です。一般的にはイミキモドはTLR7を介してIL-23を誘導すると考えられていますが、面白いのは、アルダラを外用するモデルでは、一般的にイミキモドの受容体であるTLR7のノックアウトマウスではIL-23が枯渇しても、それでもなお、乾癬が発症してしまうので、そう話は単純ではない、というところだと思います。
(原文)
Yu S, Wu X, Zhou Y, Han D, Anderson LS, Simon SI, Hwang ST, Imai Y*, Is CCR6 required for the development of psoriasiform dermatitis in mice?, The Journal of Investigative Dermatology (2018), doi: 10.1016/j.jid.2018.07.036.
*Department of Dermatology, Hyogo College of Medicine, Nishinomiya, Japan
2018年9月18日火曜日
乾癬学会で発表・座長をしてきました。
1年に1回の乾癬学会に参加して参りました。
去年との違いは、やはりの治療の要求レベルが上がったということです。
数年前までは、かなり皮膚炎がましになればOK、だったはずなのに、今は、バイオ製剤などがあるのだから、乾癬は皮膚炎がほぼゼロまで改善させるべし、というのが当然という雰囲気になってきていました。
ただ、これは開業医の菅井先生のご意見ですが、乾癬の治療が二分してしまっている。つまり、軟膏を処方するだけの開業医と、バイオ製剤を主体とした病院で、目指すゴール(ちょっとマシになればOKなのか、皮膚炎が完全にゼロになるのか) ですら異なってしまい、やっている治療や考え方も違ってきてしまっている、という指摘でした。
確かに、そういう指摘は正しいと思います。
当院では、どちらかというと、バイオ製剤などを駆使して乾癬の皮疹がゼロになるのを達成することを目指す、という方針になってきます。
デュピクセントのQ&Aをまとめました。
1. 「デュピクセント」注射の保険適用は?
アトピー性皮膚炎でデュピクセント(一般名デュピルマブ)が保険適用になるには、単に皮膚炎が悪いだけではなく、半年以上ガイドライン通りに加療されている(例:強いステロイド外用薬を半年以上、十分量に処方されていることが薬手帳や紹介状で確認できる)などの諸条件が必要です。そこで、保険適用になりそうかどうかは、いったん受診していただいてから、担当医の判断(皮疹の重症度判定など)になります。保険のルールがとても難解なため、メールや電話で、保険適用について、ご説明することはしておりません。
2. 「デュピクセント」注射の投与間隔は?
2. 「デュピクセント」注射の投与間隔は?
アトピー性皮膚炎でデュピクセントは、2週間(14日)ごとに皮下に注射します。今のところ、2週間に1回の通院が必要です。製薬会社によると、投与16週後までに約70%の患者さんが強い皮膚炎がほぼ無い状態(EASI75達成)になると報告されています。
3. 「デュピクセント」注射の副作用は?
従来アトピー性皮膚炎で主流だったシクロスポリン内服と比べると、感染症のリスクは少ない可能性が報告されています。B型肝炎などの感染性疾患をお持ちの方でも原病が制御されているなら投与可能です(元の感染症が悪化しないかの監視は必要です)。なお、原因不明の副作用としてはアレルギー性結膜炎の悪化が指摘されており、当院眼科と連携して加療を行います。
4. 「デュピクセント」注射の値段は?
アトピー性皮膚炎のステロイド剤が安価なのに対して、きわめて高額です。3割負担の患者さんの場合、1ヶ月5万円程度かかりますので、1年投与すると60万円の自己負担額となります。
5. 「デュピクセント」注射はいつまで続けるの?
アトピー性皮膚炎は一定確率で寛解・治癒する疾患です。従って6ヶ月程度の期間の寛解の維持が得られた場合には、注射はいったん終了します。
6. 「デュピクセント」を注射すれば、ステロイド外用薬は塗らなくてもいいの?
いいえ。私はよく、デュピクセントを使えば、ステロイド外用薬の効果が2倍になる、という説明をしています(正確には間違ってますが・・・)。本当は外用しなくても半分くらい効く(=皮膚炎が半分くらいに改善する)のですが、それではアトピー性皮膚炎が完治しません。ステロイド外用薬と併用してこそ、皮膚炎がほとんど無い状態を目指せるという薬になります。したがって、患者さんの協力無しに、この新しい治療は成立しません。ですから、今通院中の皮膚科から処方されている外用薬はそのまま続けながら、当院にも通院してデュピクセントも併用するというイメージになります。
なおデュピクセントは別に当院だけ行っている特殊な治療では無く、兵庫県内の種々の施設で投与可能な、日本の保険適応のある治療法です。これ以外にも、シクロスポリン内服など、様々な治療手段がアトピー性皮膚炎にはあります。
なおデュピクセントは別に当院だけ行っている特殊な治療では無く、兵庫県内の種々の施設で投与可能な、日本の保険適応のある治療法です。これ以外にも、シクロスポリン内服など、様々な治療手段がアトピー性皮膚炎にはあります。
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