「生」ワクチンなら、そうです。基本的に、乾癬のバイオ製剤を使っていると、生ワクチンの投与を避けるルールになっています。しかし、これに反対する内容の面白い発表が出ています。
こちらのプレスリリース( Live Zoster Vaccine Safe and Effective for People Taking TNF Inhibitors)をご覧下さい。
昨年11月のAmerican College of Rheumatology年次総会でにおける米国での学会発表です。ヒュミラどのTNF阻害剤(バイオ製剤)を使っている患者さんを617人(このうち乾癬は25%くらい)リクルートしてききて、本当は感染する危険性があるので打ってはいけないはずの帯状疱疹生ワクチン(米国仕様)の投与をやってしまいました。これによって、生ワクチンによる水痘の発症が危惧される6週間の間に、水痘が出てしまった症例は無かったということになっています。
ただ、この報告は治験になっていませんし、簡単に信じれませんが、日本でこのようなことが許可されるには、日本で治験をしないといけません・・・そして、当面はされることは無いでしょう(製薬会社複数で組んでやって欲しい気はする)。
あと、そもそも結核の生ワクチンでは結核発症例も報告されているので、上記の結果を鵜呑みにはできません。
しかし、このようなことからも、より安全なワクチン開発というのは、免疫抑制剤が広く使われるようになった時代が求めている内容ですし、必要に応じて、乾癬のバイオ製剤投与前に先に風疹や帯状疱疹のワクチンを投与しておくことも状況によっては必要となりそうです。
現状でシングリックスを投与可能なクリニックは西宮市内ではまだ発見できておりませんので、当面は生ワクチンのほうの帯状疱疹ワクチンをクリニックで接種することになりそうです。
2020年1月28日火曜日
2020年1月15日水曜日
デュピクセントは、投与終了するとどうなるのか?
値段が高すぎるという問題があるデュピクセントですが、当院ではデュピクセント導入の患者さんは90人を超え、医師の方もかなりデュピクセントを使い慣れてきました。
さて、アトピー性皮膚炎のバイオ製剤であるデュピクセントの投与を終了するとどうなるのか?結論から言うと16週で終了してしまうと、やや悪化してしまう模様です。
やっと噂話ではなく論文として、JAMAに掲載された原文はこちら。
https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/2757721
ただし、これは例によって日本人のデータに乏しい国際共同治験で、日本の保険適用とは状況が違うのでまったく直接比較はできませんが、この図をちらっと見ると、デュピクセントを16週投与し、良く効いているので終了した場合、デュピクセント終了後から36週後(最初の投与から1年後)には、1年間デュピクセントを継続したグループに比べて20〜25%皮疹が悪化(再燃)する、という感じのようです。
要するに、デュピクセントの投与を止めてしまったら、アトピー性皮膚炎が投与前のひどい状態に完全に戻るわけじゃなくて、ちょっと悪化する程度ですむ、というデータが出てきたわけです。もちろん個人差があります。デュピクセント中止後も、ステロイド外用剤を使用せずにすんだ患者さんは50%。ざっくり言うと、半分の患者さんは1年間ステロイド外用剤を使用せずに過ごせたわけで、ほぼ寛解ということでしょうか。
ちなみに、日本の保険適用では、デュピクセントを4ヶ月使用して効果がちゃんとあることを確認し(運悪く効かない場合はここで終了)、効果が確認できた場合は、さらに6ヶ月継続して、ずっと皮膚炎が良い状態をキープできた場合は中止等を検討する、という申し合わせになっているようです(都道府県によって見解に差あり)。
日本人の実臨床でもこのような結果になるかどうかは不明ですが、アトピー性皮膚炎は、どんな治療方法を用いたとしても(強いステロイドを大量に外用でも良いわけです)、とにかく一度良い状態が達成できさえすれば、再発せずに長期寛解することが多い(アウトグローする)疾患です。したがって、デュピクセントはうまくいけば一時中止を検討できるバイオ製剤であるという観点からも、従来の方法で寛解しなかった重症アトピー性皮膚炎にデュピクセントを導入してみることは価値が高そうです。
さて、アトピー性皮膚炎のバイオ製剤であるデュピクセントの投与を終了するとどうなるのか?結論から言うと16週で終了してしまうと、やや悪化してしまう模様です。
やっと噂話ではなく論文として、JAMAに掲載された原文はこちら。
https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/2757721
ただし、これは例によって日本人のデータに乏しい国際共同治験で、日本の保険適用とは状況が違うのでまったく直接比較はできませんが、この図をちらっと見ると、デュピクセントを16週投与し、良く効いているので終了した場合、デュピクセント終了後から36週後(最初の投与から1年後)には、1年間デュピクセントを継続したグループに比べて20〜25%皮疹が悪化(再燃)する、という感じのようです。
要するに、デュピクセントの投与を止めてしまったら、アトピー性皮膚炎が投与前のひどい状態に完全に戻るわけじゃなくて、ちょっと悪化する程度ですむ、というデータが出てきたわけです。もちろん個人差があります。デュピクセント中止後も、ステロイド外用剤を使用せずにすんだ患者さんは50%。ざっくり言うと、半分の患者さんは1年間ステロイド外用剤を使用せずに過ごせたわけで、ほぼ寛解ということでしょうか。
ちなみに、日本の保険適用では、デュピクセントを4ヶ月使用して効果がちゃんとあることを確認し(運悪く効かない場合はここで終了)、効果が確認できた場合は、さらに6ヶ月継続して、ずっと皮膚炎が良い状態をキープできた場合は中止等を検討する、という申し合わせになっているようです(都道府県によって見解に差あり)。
日本人の実臨床でもこのような結果になるかどうかは不明ですが、アトピー性皮膚炎は、どんな治療方法を用いたとしても(強いステロイドを大量に外用でも良いわけです)、とにかく一度良い状態が達成できさえすれば、再発せずに長期寛解することが多い(アウトグローする)疾患です。したがって、デュピクセントはうまくいけば一時中止を検討できるバイオ製剤であるという観点からも、従来の方法で寛解しなかった重症アトピー性皮膚炎にデュピクセントを導入してみることは価値が高そうです。
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