アトピー性皮膚炎の生物学的製剤(デュピクセント)は、新型コロナウイルス(COVID-19)に作用機序としては悪影響は無さそうだ、ということが報告されていますが、新型コロナウイルスの病態には未解明な部分があり、持病などに応じて投与判断は慎重に行っています。なお、喘息患者さんに急に中止するとぜんそくが悪化するリスクがあるかもしれませんので勝手に中止というもの危険です(Safety of dupilumab in severe atopic dermatitis and infection of Covid-19: two case reports:論文へのリンク)。残念なことに、アトピー性皮膚炎の患者さんの受診控えにより、以前に無かったような重症な状態で病院を受診される患者さんが増えた印象です。当院でも、デュピクセントの導入に関しては現在絶対的な禁忌とは考えていません。
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なお、乾癬患者さんで、免疫抑制剤または乾癬の生物学的製剤(バイオ製剤)を投与中に、もし新型コロナウイルス(COVID-19)に罹患した場合は、中止か延期です。
International Psoriasis Council(IPC)の声明
(英語:https://www.psoriasiscouncil.org/blog/Statement-on-COVID-19-and-Psoriasis.htm)
によると、乾癬で生物学的製剤を投与中の患者さんが新型コロナウイルス(COVID-19)に罹患した場合は、生物学的製剤を中止または延期が推奨されています。この内容は、日本リウマチ学会の声明とほぼ同じ内容です。要はインフルエンザ罹患時と同様に、重篤な感染症に罹患した場合は基本的には、生物学的製剤を中止または延期するということになります。実際にどれくらいの症例が延期されたかについては、プレリミナリーなデータが報告され(こちら)、それによれば、生物学的製剤を投与中の乾癬患者が新型コロナウイルスに感染した症例が105例報告され、56%が生物学的製剤を中止、33%は継続、残りは不明と報告されています。入院が必要な症例は27%でした。105例中90例が回復していると報告されています。また、別のレジストリによれば、新型コロナウイルス感染した7例中2例で生物学的製剤が中止されたと報告されています。イタリアの症例報告では、あまり生物学的製剤を中止するつもりが無いものもありました(こちら)。ちゃんと査読された報告としては、NEJM(リンク)に、生物学的製剤を使用していた乾癬患者の14名がCOVID-19に罹患し、うち1名で入院が必要だったとあります。他の疾患に比べて多いというわけではなさそうです。
ということで、全例予防的に治療中断せよという話にはなっておりません。この文献では、ウイルス感染しても症状が軽度なら続行になっています。それは、今のところは、これら免疫抑制薬の使用が感染リスクを上昇させるとは報告されていないからです(文献:Should Biologics for Psoriasis Be Interrupted in the Era of COVID-19?)。ただし、新型コロナウイルス(COVID-19)の重症化のリスクが上昇する疾患に、糖尿病、高血圧、心疾患、脳血管疾患が報告されております(エビデンスとなる論文はこちら)ので、症例によって考えるということになります。
サイトカインはウイルスを抑制するのか肺炎悪化の要因なのか両方なのかよく分かっておらず、トシリズマブが治験されているのと同様の理由で、むしろ乾癬で用いられる抗IL-17抗体であるイキセキズマブは、新型コロナウイルス肺炎に対して治療薬としての治験が開始されています(ただし中国です。詳細はこちら)。同様に、アダリムマブも治験が開始されたようです。
(英語:https://www.psoriasiscouncil.org/blog/Statement-on-COVID-19-and-Psoriasis.htm)
によると、乾癬で生物学的製剤を投与中の患者さんが新型コロナウイルス(COVID-19)に罹患した場合は、生物学的製剤を中止または延期が推奨されています。この内容は、日本リウマチ学会の声明とほぼ同じ内容です。要はインフルエンザ罹患時と同様に、重篤な感染症に罹患した場合は基本的には、生物学的製剤を中止または延期するということになります。実際にどれくらいの症例が延期されたかについては、プレリミナリーなデータが報告され(こちら)、それによれば、生物学的製剤を投与中の乾癬患者が新型コロナウイルスに感染した症例が105例報告され、56%が生物学的製剤を中止、33%は継続、残りは不明と報告されています。入院が必要な症例は27%でした。105例中90例が回復していると報告されています。また、別のレジストリによれば、新型コロナウイルス感染した7例中2例で生物学的製剤が中止されたと報告されています。イタリアの症例報告では、あまり生物学的製剤を中止するつもりが無いものもありました(こちら)。ちゃんと査読された報告としては、NEJM(リンク)に、生物学的製剤を使用していた乾癬患者の14名がCOVID-19に罹患し、うち1名で入院が必要だったとあります。他の疾患に比べて多いというわけではなさそうです。
ということで、全例予防的に治療中断せよという話にはなっておりません。この文献では、ウイルス感染しても症状が軽度なら続行になっています。それは、今のところは、これら免疫抑制薬の使用が感染リスクを上昇させるとは報告されていないからです(文献:Should Biologics for Psoriasis Be Interrupted in the Era of COVID-19?)。ただし、新型コロナウイルス(COVID-19)の重症化のリスクが上昇する疾患に、糖尿病、高血圧、心疾患、脳血管疾患が報告されております(エビデンスとなる論文はこちら)ので、症例によって考えるということになります。
サイトカインはウイルスを抑制するのか肺炎悪化の要因なのか両方なのかよく分かっておらず、トシリズマブが治験されているのと同様の理由で、むしろ乾癬で用いられる抗IL-17抗体であるイキセキズマブは、新型コロナウイルス肺炎に対して治療薬としての治験が開始されています(ただし中国です。詳細はこちら)。同様に、アダリムマブも治験が開始されたようです。