当科乾癬外来担当の今井の、乾癬に関する論文が、アメリカの免疫分野ではトップクラスの雑誌であるThe Journal of Immunology に掲載されました(J Immunol, 195: 421-425, 2015)。近年、免疫を活性化させる新しいタイプの治療法が、癌や肝炎の治療に用いられていますが、その副作用として乾癬などの皮膚炎や膠原病のような症状が発症することがあります。この皮膚炎の発症にγδT細胞の産生しているIL-17が関与していることを論文にさせていただきました。
さて、これら癌に対する治療の副作用である皮膚症や膠原病様の症状にいち早く気がついて早期に手が打てるのは、やはり薬疹や膠原病に慣れている皮膚科医師なんだろうと思います。薬の副作用として出てくる皮膚炎に対応するのも、地味ですが病院勤務皮膚科医の大切な役割です。例えば、皮膚科がいない病院では皮膚の副作用で断念することになるかもしれない抗がん剤であっても、皮膚科医の診察が(たとえ週1−2回であっても)ある病院では副作用の皮膚炎をうまくマネジメントして、治療続行可能かもしれないわけです。私が皮膚癌だけにこだわらず「すべての癌に対する知識」が求められる資格である「がん治療認定医」をわざわざ取得したのも、このような考えがあるからです。でも残念なことに、皮膚科医が他科の診療にいかに貢献しているか、その重要性を理解している病院経営者は非常に少ないのが現状です。
・・・どの科に通院するにせよ、皮膚科のある病院を選びましょう。