2016年2月16日火曜日

乾癬における関節痛

 乾癬を長年診察していると、患者さんに関節痛が出てくることがあります。関節症性乾癬の患者さんの60-70%は皮膚症状が先行します。最近、近くのクリニック様から、関節症性乾癬の患者様を紹介していただく機会が増えてきました。近くの外科系クリニックで、関節リウマチではないとので関節炎の原因は不明、と診断されていた患者さんがも、いらっしゃいました。また、診断の難しい症状なのですが、付着部炎というものがあり、アキレス腱や足底腱膜に炎症が起きるので、アキレス腱をつまむと痛い、歩くと足底が痛い、といった症状が乾癬で起きることがあります。

 実は、これがまさに関節症性乾癬の特徴で、関節リウマチで上昇する「リウマチ因子」が陰性となり、診断がつかないままになっていることもあります。乾癬の患者さんで関節が痛く、リウマチ因子が陰性の場合は、関節症性乾癬である可能性が高いです。そのような患者さんでは、頭皮、爪、臀部といった部位に治りにくい乾癬の皮疹があることがあります。現在、関節症性乾癬は治療手段がありますが、関節が破壊された後では関節は元に戻りません・・・つまり、関節症状が出てきた乾癬は、そろそろ(?)ちゃんと治療しないといけない、ということになります。

 乾癬の患者さんで、関節症状が出てきた場合は、当院など乾癬を得意とする皮膚科にご紹介ください。

(参考)
CASPERの分類 (Taylor W, Arthritis Rheum 2006より引用改変)
関節炎(付着部炎)があって、下記の症状が3点以上のときに関節症性乾癬と診断する。
・現在、乾癬の皮疹がある(2点)
・以前乾癬だった、または家族に乾癬患者がいる(1点)
・採血でリウマチ因子陰性(1点)
・指趾炎またはその既往歴(1点)
・レントゲンで骨形成(1点)