2016年3月30日水曜日

なぜ、あなたのアトピーは治らないのか

ありがちな本のタイトルみたいですが、、、、
ずばり、

治療法の最近の進歩

について行っていない、古い治療を受けている可能性があります!

例えば、特に皮膚科では無い先生についでに診察してもらっている患者さんは、いちど皮膚科医に診察してもらうのが良いと思います。

現在行われているアトピー性皮膚炎の治療は、実は、ちょっと前とはかなり違うものになっています。エビデンス、つまり効果があるという客観的な証拠がある治療がわかってきました。

なお、アトピーの治療法の進歩について、どう昔と違うのかは、こちらから。
などと書きつつ、10年後くらいにもっと若い先生に「あの先生の治療は古い」とか言われないように、日々精進したいと思います・・・・


2016年3月20日日曜日

診察中に聞きたいことを医師に十分に聞けていますか?(患者さん向け)

Ask Doctorsというサイトの調査によると


「診察中に聞きたいことを医師に十分に聞けていますか?」

という質問に52.8%の患者さんが「聞けていない」と回答しています。

うーん、かなり高い数字ですね。診療科によっても違うのかもしれませんが、半分くらいは質問があるのにできていないという回答です。

実際に私も患者さんとして通院すると、「質問しにくい雰囲気」が医師・歯科医師・ついでに薬剤師にあると感じることがあります。。。。日本人は遠慮して質問できないので、そこに問題があるような気がします。

確かに再診患者さんの場合、当科では30分で3人予約が入っているので、1人10分しか時間が無く、しかもその間の時間で予約外の患者さんも診察していきますから、そんなに長い時間が取れるわけではありませんね。。。

個人的に患者さんにお勧めしたいのは

1)入院ですと医者に言われたら、頑張って外来通院だけで治そうとせず、入院してください。
平日は忙しい医師でも、夜や土日祝にゆっくり説明が聞けるかもしれません。

2)質問したいことを、あらかじめ紙に書いてくるといいかもしれません。
なんとなく医師が白衣でエラそうに見えて質問し損ねるというのは、よくあることです。そんな時には医師を変える・・・のもいいのですが、質問したいことがあっても診察室の中では忘れているかもしれません。そこで、質問したいことを、あらかじめ紙に書くことをおすすめします。

軟膏が5種類とか6種類になっている患者さんの中には、この軟膏が3本残っているから次回診察までに8本欲しい、などとあらかじめ紙に書いて持参される患者さんもいらっしゃいますが、これも「もらい忘れ」が無くて良い方法だと思います。ただ、私の外来患者さんは注射の方が多く、軟膏だけで治療されている方は少ないのですが。。。

と書きつつ、やっぱり医師としては患者さんが質問しやすい環境を整えないといけないなぁと思った次第です。質問だけでなく要望希望を伝えるのも大切で、皮膚科は悪化したら死ぬ病気は少ないわりに難治性の病気も多いので、どこまで治療したいのかが患者さんによって全然違います。完全に皮膚炎ゼロを目指すのか、痒くなければまあOKなのか、ご要望を医師にはっきりと伝えていただければと思います。




2016年3月19日土曜日

4月からの皮膚科の治療代値下げについて

診療報酬改訂の時期がやってきました。

 皮膚科については、一部1%程度、値上げになるものもありますが、特に入院に関しては、当院では、ざっくり10%程度治療代の値下げとなります。特に、当院で力を入れている尋常性乾癬・関節症性乾癬・膿疱性乾癬の入院加療や、静脈瘤の治療などの手術について、(おおむね)診療代金がお安くなる予定です。患者さんにもよりますが、負担金額が大幅にお安くなることが予想され、内科より元々診察の値段が安い(再診ならざっくり1/3〜1/5程度ですみます)皮膚科ですが、この春より、さらに安い値段で入院の診療を提供させていただきますので、費用的にも、より安心して入院していただけます。
 
 当院皮膚科では、もちろん、入院加療にも対応しております。重症の皮膚炎や、皮膚腫瘍の患者さんがいらっしゃいましたら、当院にご紹介ください。



2016年3月13日日曜日

医師国家試験の合格率?

診察の度に、学生実習にご協力いただき、誠にありがとうございます。。当院は大学病院ですから、医者の後ろに学生がいることがあるのです。

さて、週刊朝日 2016年3月11日号の記事で
「低偏差値ほど高い医学部学費の法則とは?」
だそうで、まったくもって必死に勉強している学生諸君に対して失礼なタイトルの記事なのですが、しかもアメリカの医学部はもっと学費が高いぞ(ハーバードでも高いぞ)と思いつつ、さらにこの記事を読むと・・・

偏差値に比して医師国家試験の合格率が高いのが兵庫医科大

という話まで出てきました。

うーん、褒められているのか、偏差値の低い大学だとけなされているのか、どっちなのかは全く分かりませんが、私としては、学生さんの実習に(関西のノリで)快く協力していただいている患者さんのおかげで、東京にある似たような大学よりも医師国家試験の合格率が高いのだと思います。

改めて、学生さんの実習に協力していただいている患者さんに感謝致します。いつも本当にありがとうございます。

・・・あと、学生は嫌という患者さんのために、土曜日に来院すると学生がいないという、兵庫医大ならではの裏技をこっそり公開しておきます。


筒井ひろ子 教授 が定年退官されます。

今回は診療とは関係ない、個人的な話です。

兵庫医大の病原微生物学講座 主任教授 筒井 ひろ子 退官記念食事会に参加してきました。筒井先生はIL-18というサイトカインの発見に寄与された先生です(Science 1997、当時のIL-18の名称はIGIF)。まったく個人的な内輪の食事会ですけども、学長をはじめ複数の教授の先生方や、教え子の先生が多数参加され、またアメリカですでに独立して研究室を持っている石先生がわざわざカルフォルニアからこのために来日されるなど、筒井先生がいかに教え子の先生から慕われているかがよく分かる会となりました。また、当時ご指導いただきました全国各地でご活躍中の諸先生方と再会することができました。

筒井先生には、小生が若いころ・・・まだ英語もできない、論文の書き方も分からないころに(今でもできないですが・・・・)、学位論文を書く時には、大変お世話になりました。また、筒井先生からは、コラボレーションの大切さも教えられました。現在、医学系の研究はひとつの領域では成り立たなくなってきております。実際、当科でも、他の部署との共同研究を開始致しました。正直、皮膚科だけではなかなか良い研究をするのは難しいのが実情となっております。もっとも、日本の国の予算自体が厳しい中、私自身、国から研究予算が獲得できて研究ができている、という現在の環境にもっと感謝しないといけないとも、思いました。

・・・そして最後に余計なことを書きますが、最近定年退職になる教授の先生方、つまり団塊の世代とその少し後の世代の教授の先生方は、本当にすごい先生ばかりが、スペシャルな先生が、そろっているように思います。同年代の数が多く、それだけ激烈な競争を勝ち抜いてきた、ということなのだと思うのですが、どんどん退職していくのは、正直、もったいないなという気持ちがします。例えばアメリカでは、いつまでも教授ができますが。。。。

長年の教授職、お疲れ様でした!

なお、筒井 ひろ子 先生の退官記念講義は3月23日水曜日に予定されているようです。