2016年11月29日火曜日

第115回 兵庫県皮膚科医会総会で教育講演を行いました

さる20161126日(土)
115回 兵庫県皮膚科医会総会・学術集団会 におきまして

教育講演をさせていただきました。

多数のご参加ありがとうございました!!
この講演では、皮膚科医師の先生方に、自然免疫と乾癬 ~膿疱性乾癬ガイドラインを含めて~

というタイトルでお話をさせていただきました。
兵庫医科大学皮膚科では、乾癬の中でも最重症である、膿疱性乾癬の患者さんを非常に多く診察させていただいております。

聞き逃した方や、話が難しくて寝てしまった方のために(?)、講演内容を再度、ブログでまとめようと思います。とはいえ、単にガイドラインを簡単にまとめただけなのですが・・・



 私がガイドライン執筆に少しだけ関与させていただいた、膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドラインの話を、させていただきました。まず、膿疱性乾癬(汎発性)の重症度分類診断基準を紹介しました。これは膿疱性乾癬の重症度をスコア化するものです。これを見ると、膿疱性乾癬が普通の乾癬とどう違う疾患なのか、よくわかると思います。スコア項目のAが皮膚症状ですが、紅斑だけでなく、膿疱や浮腫を伴います。スコア項目のBが全身症状・検査所見の評価であり、発熱、白血球数、CRP、アルブミンで評価します。これらの点数の合計が7点以上であれば「中等症」であり、医療費助成対象疾病の難病公費助成となります。

 ガイドラインでは治療についても言及しています。簡単にまとめると、膿疱性乾癬は全身治療を行わないとダメで、局所治療では効果が薄いということです。まず、「B行うよう勧められる」に相当するものが、エトレチナート)とシクロスポリンになります。どちらも保険適応があります。そして、バイオ製剤はどれも「C1行うことを考慮してもよいが十分な根拠がない」になります。これは症例数が少ないからですが、現状ではバイオ製剤を投与することが多いと思います。次に顆粒球単球吸着除去療法(GMA)C1ですが、使い方の実際としてはチガソン(エトレチナート)とネオーラル(シクロスポリン)と併用することが多いです。一方、ガイドラインで推奨されない治療法としては、内服ステロイドが勧められない治療になっています。ただし、既にビタミンD3製剤やステロイド外用がされている場合は、これを中止することで膿疱性乾癬が増悪することがありますので注意が必要です。なお、内服ステロイドは、急性期ARDS/Capillary leakを起こした症例ではB,妊婦ではC1ですが、基本的に皮疹に関しては内服ステロイドはC2(根拠がないので勧められない)となっており、使い方にはやや工夫が必要になってきそうです。

いずれにせよ膿疱性乾癬は全身治療が必要ですので、膿疱性乾癬を疑った症例につきましては、ある程度の規模がある病院、例えば兵庫医科大学皮膚科などに、ご紹介いただければ幸いです。

(日本皮膚科学会の基準による講演内容に関するCOI提示:なし 本公演の講演料:なし)