2015年12月15日火曜日

研究皮膚科学会に行ってきました

岡山で開催された研究皮膚科学会に行ってきました。セミナー関連では、やはり乾癬関連のものが目立ちました。
海外からも参加多数という、国内で開催される国際学会といった感じの学会で、100%英語で行われます。これは、免疫学会も英語化されていますし、アレルギー学会も部分的に英語化され、そのうち研究関連の学会はすべて英語なのが当然、という時代が来そうです。アメリカ留学していた割には私は英語は得意では無いのですが、特に若い先生で英語が非常に流暢な先生が多く、時代の変化を感じた次第でした。

と、ここまで書いておいて何なのですが、学会の国際化と違って当院はまったく英語には対応しておりません。。。。たまに日本語の出来ない外国人の患者さんをご紹介いただくのですが、皮膚科は受付・事務も看護スタッフも英語に対応しておりませんので、日本語ができない患者さんにつきましては、日本語を話せる方の付き添いか、もしくは英語対応の他院を受診していただけますよう、お願いします。 m<_ _>m 

2015年12月7日月曜日

膿疱性乾癬ガイドラインの最新版ができました。

(医師向けの内容です)
乾癬外来担当の今井です。私も執筆に携わった、日本皮膚科学会の「膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン」最新版が、発行されました(日本皮膚科学会雑誌の今月号: Vol. 125(2015) No. 12 p.2211-2257)。なかなかの量のボリュームで、しかも日本皮膚科学会の学会誌に掲載ですから一般公開ではないのですが、施設によってはJ-Stageで読むことが出来ますので、興味のある先生はぜひご覧下さい。ガイドラインに関与させていただくということは、乾癬をやっている者にとってたいへん光栄なことであり、声をかけていただいた諸先生方に深謝申し上げます。また、このガイドラインではバイオ製剤だけでなくGMA(顆粒球単球吸着療法)にも言及がなされています。兵庫医大皮膚科は、バイオ製剤とGMAの両者が施行可能な数少ない皮膚科であり、重症の膿疱性乾癬の治療も重視して行っております。また、数多くの膿疱性乾癬の患者さんを診察している皮膚科でもあります。膿疱性乾癬の患者さんの緊急入院なども、可能な限り対応しております。


2015年11月21日土曜日

土曜日にバイオ製剤が打てるようになります

土曜日にバイオ製剤外来を開始します

乾癬に必要な検査が土曜日にも出来るようになりましたので、バイオ製剤(バイオロジクス、生物学的製剤)が必要な乾癬患者さんを土曜日に診察できるようになりました。詳しくはこちらもご覧下さい。

兵庫医大病院皮膚科が、乾癬患者さんの

・光線療法(または内服療法)をしているのに乾癬が治らない
・お仕事をされているために土曜日の皮膚科クリニックに通院しかできない
・しかし、最新のバイオ製剤はクリニックでは使えない(大学病院など承認施設のみ)

という悩みを解決します!


とはいえ、土曜日の外来は少人数でやっており、担当医が学会等で不在のこともありますので、初診から完全予約制とさせていただきます。バイオ製剤の適応ですが、光線療法の効きが悪い乾癬患者さん、頭皮や爪などが難治な患者さん、関節症性乾癬や膿疱性乾癬の患者さんになります。バイオ製剤の適応になりそうな患者さんがいしゃっらいましたら、当科への紹介をよろしくお願い申し上げます。なお、当科への患者さんの紹介は、FAXでの初診予約が便利でございます。月曜日・木曜日・土曜日など希望の曜日の記入をよろしくお願い申し上げます。

2015年11月2日月曜日

皮膚科学会(中部大会)に行ってきました

医局長の今井です。先週末に開催された第66回皮膚科学会中部支部学術大会に行って参りました。会場は神戸なので、すぐそこです。

 ちなみに、当教室の山西清文主任教授による教育講演には、会場のキャパシティである300座席はなんと満席、立ち見も10人ほど出るという大盛況で、いつもご指導いただいている山西教授の凄さが感じられました。

 乾癬のほうは、もはやバイオ製剤で治療するのは当たり前となった雰囲気になっており、いかに上手にこれらのバイオロジクス(生物学的製剤)を使うか、という議論になっていました。兵庫医大皮膚科乾癬外来は、ヒュミラ、レミケード、ステラーラ、コセンティクスの全てのバイオ製剤(注射薬)の投与経験があり、さらに顆粒球吸着療法(GMA)も施行可能、ネオーラル(シクロスポリン)の導入も可能という、乾癬治療に必要な武器がこれでもかというくらい、揃っている皮膚科です。また、自分たちのやっている診療内容が最先端にちゃんとなっているということも、再認識することが出来て良かったと思っています。


さて、来年の第67回学会は兵庫医大が主催します。たくさんの先生方にお越しいただけるよう、魅力的なプログラムを用意したいと考えております。

2015年10月25日日曜日

スケートアメリカとアメリカ文化


現在スケートアメリカが、私が留学していたアメリカ中西部の都市、ミルウォーキーで開催されています。日本人選手も良い結果を残せたようです。

 実は会場のパンサーアリーナは、半年前まで住んでいたマンションから徒歩1分。ベランダからすぐそこに見えていたというイベント会場です。下の写真の右ぎりぎりに見えているのが会場です。アメリカで徒歩生活というのは普通はあり得ないので、ダウンタウンのど真ん中に住んでいたのですが、基本、ほとんど車で移動です。


・・・もっとも、半年前までアメリカに住んでいたとは信じられないくらい、日本の満員電車などに、すっかり順応している自分にびっくりなのですが・・・


 アメリカ開拓時代の建物が残る街でもあり、シカゴに観光に来た際には、ぜひともついでに行ってみてください。写真の建物はピカソの絵で有名なミルウォーキー美術館。ミシガン湖も美しいですね。ちなみにこの写真も夜7時半くらいです。外で晩御飯・・・日本ではあまり無いタイプのレストランです。

ということで、単なる留学回想日記でした。


2015年10月20日火曜日

乾癬の原因遺伝子が検査できます


当院では、重症の乾癬である「膿疱性乾癬」に関して、その原因遺伝子の一つであるIL-
36RNの遺伝子異常の有無について検査が可能です。現在のところ「研究」という扱いですので、患者さん負担はありません。遺伝子を調べる検査ですので、実際にお話をさせていただいて患者さんが希望場合のみ検査をしております。この遺伝子異常は、Marrakchi らが英国の医学誌(N Engl J Med、doi: 10.1056/NEJMoa1013068)で膿疱性乾癬に関与する遺伝子異常を発表したのが始まりです。なお、当科では様々な遺伝子検査が可能です。

2015年10月12日月曜日

無事、皮膚外科学会が終了しました。



2015.10.10(土)〜11(日)に本学で開催しておりました、第30回日本皮膚外科学会総会・学術集会におきまして、数々のご支援とご協力を賜りまして誠に有り難うございました。お蔭様をもちまして、多数のご参加をいただき、無事終了致しました。


皮膚外科学会発祥の地のひとつでもある当院では、静脈瘤や皮膚腫瘍・皮膚がんの手術を多数行っております。特徴としては、全身麻酔をできるだけ避け、可能な限り鎮静剤と局所麻酔で行い患者さんの負担を軽減しています。手術をご希望の患者さん、または、ほくろが皮膚がんなのか良性なのか心配な患者さんは、兵庫医大皮膚科の水曜日か金曜日の外来を受診してください。

2015年9月20日日曜日

なぜ重症のアトピー性皮膚炎が減ってきているのか

今日は乾癬ではなく、アトピー性皮膚炎のお話です。

兵庫医大皮膚科では、アトピー性皮膚炎も診察しております。乾癬は関西一円から患者さんがいらっしゃいますが、アトピーは西宮や尼崎の患者さんが多いです。

最近は、重症のアトピーの方が少なくなってまいりました。電車に乗っていても、ぱっと見でお顔が重症なアトピーだとわかる方が10年前に比べて格段に少なくなったと実感している方もいらっしゃると思います。この理由は、

標準的な治療法の進歩と普及

のおかげだと思います。


さすがに10年前と違って「ステロイドは怖いから塗らないように」と指導されている患者さんは皆無になってきましたが、どうしてもアトピーが良くならないステロイドを塗っても効かない!という患者さんはよく受診されます。しかし、これもガイドラインに沿った治療が行われていないというケースがほとんどで、単にステロイドの塗り方が間違っているだけのことが多いです。標準治療をするだけで皮膚炎が良くなるというパターンとなりますので、もし喘息などがあるために皮膚科以外の先生に「ついでに」アトピー性皮膚炎も診てもらっているという場合は、一度、お近くの皮膚科の先生を受診されることをお勧めします。

なお、まれにアトピーという診断が間違っている場合もあり、皮膚リンパ腫という一見するとアトピーに見える悪性腫瘍であることもありますので、特に皮膚科の先生でないお医者さんにアトピーを診察してもらっているのに数年たっても治らない方は、一度、お近くの皮膚科医の診察を受けることをお勧めします。10年以上かけて進行する悪性腫瘍ですので注意が必要となります。


2015年9月17日木曜日

80%は確率として高いか低いか?

今井です。私事ですが、思いっきり歯の治療、失敗されちゃったみたいで、かえって余計に痛くなりました。まったく、ヤブ歯医者め!成功率80%ですって言っていたのにウソだったのか!?

・・・と文句を言っておいて、じゃあ、自分のしている皮膚科診療ではどうなのでしょうか?

私が担当させていただいた乾癬患者さんのバイオ製剤の効き具合を、カルテ全員分集計して計算してみたのですが、例えば最近のバイオ製剤は、簡単言うと75~80%の患者さんで乾癬の皮疹がほとんど無くなるとの報告です(専門用語で言うPASI75、皮疹がほとんど気にならない状態になります)。これは、私が医者になったころのことを考えると驚異的に効く治療の登場で、まさに「画期的な最新の乾癬治療」なのですが、でも、実は・・・・80%の方に効くということは、そう、20%くらいの患者さんは、バイオ製剤の効きが悪いのです。しかも、現状では治療してみないと効くかどうか不明なので、事前の検査では薬が効くかどうかは分からないのです。これは最も優れたアメリカの皮膚科に行っても同じで、バイオ製剤が効くか事前に知る検査は開発されていないのです(現在私も研究中です)。いや、皮膚科なのにすごく採血されたんですけど!!という患者さん、すみません、あれはバイオ製剤の副作用が出やすい体質かどうか調べている検査なので、効くかどうか調べる検査じゃないんですよ・・・

・・・・ということで、確率的に約20%の患者さんには私も「ヤブ医者め!」って思われてることになりますね。。。しかし、現状では効かない方がいらっしゃるのは事実です。1剤目が効かなかった患者さんには、また別の(2種類目の)バイオ製剤を使うことになります。現在保険が効くバイオ製剤は4種類もありますので、一応最後には何とかなるはずですが(ブログを書いている今のところは何とかなっている)、やはり、診察には時間をかけて、治療のメリット・デメリット(100%効くわけではない)を、しっかりお話していかないといけないなと思いました。ただ、乾癬に関しては日本でもアメリカと同一水準の治療レベルがアメリカより安価に提供できる(新薬が保険適応になった)ということは、乾癬患者さんはぜひ知っていただきたいと思います。


・・・あ、でも、やっぱり歯医者は変えようかな・・・




2015年9月8日火曜日

乾癬学会に参加してきました

乾癬外来担当の今井です。
第30階日本乾癬学会学術大会に参加してきました。

当科からは顆粒球吸着療法について学会発表をさせていただきました。
この当科で行っている乾癬に対する顆粒球吸着療法が、まだまだ一般的に広まっていないということも分かりましたが、実際に今までで(当院だけで無く他の病院も含めて)重篤な副作用が生じたことが無いという安全性の高さが確立されてきたことが確認できました。

また、話題としては、乾癬の治療にバイオ製剤を使うか否か?という議論だったものが、どのバイオ製剤を使うか?、というレベルに進化してきたことを感じました。

いずれにせよ、当科で行っている乾癬治療は最先端にちゃんと追いついているということが確認できましたので、自信を持って診察していきたいと思います。

ところで、中国で皮膚科をしているPigshen Fan先生のお話では中国ではバイオ製剤はいわゆる保険適応外、つまりお金持ちだけが使える薬であるとのことでした。もちろん、日本は国民皆保険制度ですから、むしろ所得の少ない方ほど医療費が安くなる仕組みが整っており、最先端のバイオ製剤であっても保険適応で使うことが出来ます。

最後にオマケの写真ですが、学会会場から見える名古屋城です。中国や韓国の先生も参加されておりましたので、このような会場は面白い試みだと思いました。

2015年8月18日火曜日

今井の乾癬に関する論文が The Journal of Immunology に掲載されました。

 当科乾癬外来担当の今井の、乾癬に関する論文が、アメリカの免疫分野ではトップクラスの雑誌であるThe Journal of Immunology に掲載されました(J Immunol, 195: 421-425, 2015)。近年、免疫を活性化させる新しいタイプの治療法が、癌や肝炎の治療に用いられていますが、その副作用として乾癬などの皮膚炎や膠原病のような症状が発症することがあります。この皮膚炎の発症にγδT細胞の産生しているIL-17が関与していることを論文にさせていただきました。

 さて、これら癌に対する治療の副作用である皮膚症や膠原病様の症状にいち早く気がついて早期に手が打てるのは、やはり薬疹や膠原病に慣れている皮膚科医師なんだろうと思います。薬の副作用として出てくる皮膚炎に対応するのも、地味ですが病院勤務皮膚科医の大切な役割です。例えば、皮膚科がいない病院では皮膚の副作用で断念することになるかもしれない抗がん剤であっても、皮膚科医の診察が(たとえ週1−2回であっても)ある病院では副作用の皮膚炎をうまくマネジメントして、治療続行可能かもしれないわけです。私が皮膚癌だけにこだわらず「すべての癌に対する知識」が求められる資格である「がん治療認定医」をわざわざ取得したのも、このような考えがあるからです。でも残念なことに、皮膚科医が他科の診療にいかに貢献しているか、その重要性を理解している病院経営者は非常に少ないのが現状です。

・・・どの科に通院するにせよ、皮膚科のある病院を選びましょう。

2015年8月11日火曜日

皮膚科のホームページが新しくなりました

このたび、兵庫医大皮膚科のウェブサイトのデザインが新しいものになりました。

リンクしていただきたいURLは、
http://www.hyo-med.ac.jp/department/drmt/
になります。
これ以外のURLは動的に変化しますので、リンクされましてもリンク切れになるおそれがあります。

パソコンやタブレットでご覧下さい。

2015年8月8日土曜日

乾癬外来のブログを開設しました

乾癬外来のブログを開設しました。内容としては、患者さん向けというよりは、普段患者さんを紹介してくださる診療所の先生向けといった内容が多くなると思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。なお、このサイトは今井が個人的に運営しているものであり、所属している病院や学会、医局の見解を示すものではありません。