2018年12月11日火曜日

アトピーのバイオ製剤は、乾癬のバイオ製剤とどう違うのか?

諸先生方のご紹介のおかげで、現在、乾癬のバイオ製剤の患者様の数は阪神間で当院がトップクラスとなっております。さて、さらにアトピー性皮膚炎でも、バイオ製剤であるデュピクセント希望で当院に多数のアトピー性皮膚炎の患者さんをご紹介いただき、ありがとうございます。こちらの処方数も月によっては全国大学病院でも多い方になるくらいの症例数となっており、医師だけで無く看護師も含めてスタッフ全員、かなりバイオ製剤になれてきたと思います。

さて、本日はお願いがございます。
ご紹介いただいたアトピー性皮膚炎の患者さんは、引き続き貴院に通院いただき、徹底した外用指導をお願い申し上げます。

 実は、この点が勘違いされている患者様が多く・・・・たしかに乾癬のバイオ製剤は、どの製剤も効果が十分に高いので、外用剤なしでも乾癬が綺麗になってしまいます。したがって、外用するのが苦手な患者さんにも乾癬のバイオ製剤が向いているということも出来ます。

 一方、アトピー性皮膚炎のバイオ製剤(デュピルマブ、抗IL-4/13受容体抗体)は、ステロイド剤と併用して初めて効果があります。具体的に治験データを見るとデュピクセント単剤だけでは、あまりアトピー性皮膚炎は治りません。そして、ステロイド剤をバッチリ16週間外用するとアトピー性皮膚炎スコア(EASI)は49%減少します。外用で皮膚炎は半分くらいになるということです。ここで、デュピルマブと併用するとスコアが80%減少していると報告されてます。これは今までに無かった画期的なデータが治験結果として報告されているようです。これは、単純化して例えると、デュピルマブは、ステロイド剤が二倍効くアイテムと言うことができると思います。なので、ドラクエの話で盛り上がった患者さんに、デュピクセントはドラクエで言うとバイキルトの呪文のようなものです、ステロイドの攻撃力が倍になります、ラスボスであるアトピーを倒せる可能性が高くなります、と説明していたら、隣の医師にドン引きされました(笑)。

しっかり皮膚炎を抑えて寛解状態にすることが、アトピー性皮膚炎では大切と考えられています。いったん寛解すると再発しにくい患者さんも経験します。注射すれば外用しなくて良くなるのではないかと期待される患者さんが多いのもわかるのですが・・・乾癬のバイオ製剤(注射)は外用しなくてもいいかもしれませんが、アトピー性皮膚炎の注射は、外用ステロイドと併用するのが大切になります。そして皮膚炎がほとんど無い状態が達成できれば、その状態が長期間維持できるかもしれません。

2018年11月27日火曜日

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2018が一般公開されました

アトピー性皮膚炎診療ガイドラインは、誰でも読める一般公開されたガイドラインです。皮膚科医だけでなく小児科医なども含めてアレルギーに関わる有名な先生数名による共同執筆になっています。

https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopic_GL2018.pdf

ただし、内容は今年度版からより専門的・臨床的になり、アレルギー学会専門医ではあるが皮膚科ではない先生には、かなり難しい内容になったと思います。さらに、私たちのグループが研究しているIL-33や2型自然リンパ球のアトピー性皮膚炎への関与がガイドラインで紹介されている点も、私たちにとっては感慨深いものがあります。どこが違うか?というと旧アレルギー学会のガイドラインでは皮膚炎面積が広い患者さんには強いステロイド剤を使いましょうとなっていましたが、この最新のガイドラインでは(今回から皮膚科学会とアレルギー学会のガイドラインが統合されたこともあり)、皮膚炎の種類が紅斑なのか、苔癬化なのか、その種類でステロイド外用剤の強さを変えましょう、となったので、皮膚炎の種類の診断が必須という点が古いガイドラインとの違いになっています。なお、最新の治療であるデュピクセントはガイドライン改訂に間に合わず、まだ盛り込まれていない状態です。

いずれにせよ、ガイドラインが一般公開されているのは大変意義があることだと思います。

2018年11月7日水曜日

岸本 暢将先生(聖路加国際病院)のハンズオンセミナーを行いました(ただしClosed)

このたび、岸本 暢将先生(聖路加国際病院)を講師にお招きして、乾癬性関節炎のハンズオンセミナーを(Closedで)開催してきました。講師はおそらく日本で一番有名な先生なのですが(今井は岸本先生の膠原病DVDを持ってます)なにせ座長が(なぜか)今井で、参加者は若手医師限定という、クローズドな会でしたので、著名な先生を講師にお呼びしているのに誰も来てくれないのではないかと危惧しておりましたが(!)、祝日の昼間にもかかわらず、大阪府・兵庫県のから多数の若手医師にご参加頂き、ありがとうございました。参加者からは、ガイドラインに書かれていないグレーゾーンな内容の質問も出てきており、(岸本先生のご回答は日本のガイドラインに無いけどアメリカのガイドラインには記載有り、ということでした)、気軽に質問できるハンズオンセミナーという目的が達成できました。乾癬性関節炎は皮膚科医にとって珍しいですが見逃してはいけない疾患であり、我々も意識をして勉強していこうと考えています。

2018年10月28日日曜日

第69回日本皮膚科学会中部支部学術大会で講演しました。

乾癬・アトピー外来担当の、今井です。
このたび、第69回日本皮膚科学会中部支部学術大会(2018年10月27日(土))、大阪国際会議場(グランキューブ大阪)にて乾癬の講演を行いました。内容は、米国留学していたころの昔話だったのですが、実は日本に帰ってきて3年、やっと論文になったという、とんでもなく気が長い話でした(笑)。研究を引き継いでくれたゲシュマン先生に感謝です(ちなみに、この人はドイツ系アメリカ人で、名前のspellingのssの部分がサインではちゃっかりドイツ語のβになっているというのが印象的な方でした)。

秋の学会シーズンということもあり、学会の講演の機会もいくつか頂いております。主要なものでは、次回は11月18日に、第48回日本皮膚免疫アレルギー学会総会学術大会で講演を予定しております。アレルギー学会なら主役は当然アトピーで、その話題はデュピクセントなのですが、なぜか私の講演は初めて乾癬でバイオ製剤を処方する先生のための教育的な内容というやつになってます。まあ、学会が複数合併して、名称に「免疫」も増えたので、乾癬が紛れ込んでもいいのかもしれません。


2018年10月14日日曜日

第82回日本皮膚科学会東部支部学術大会でシンポジウム講演をしました

今井です。2018年10月6日(土)に、アトピー、魚鱗癬、乾癬、膠原病の「アラーミン」に関する基礎医学的な内容で、第82回日本皮膚科学会東部支部学術大会(北海道、旭川市)でシンポジウム講演をしてきました。シンポジストの先生方が皆様とても有名な先生でしたので、自分の講演内容をどうしようかと思いましたが、結局は私達の研究データを出すことになりました。また、違うエリアの皮膚科の学会に参加することで、私自身、普段は聞かない先生の講演も聴けたので、かなり勉強になりました。
ちなみに、中部支部総会でも乾癬の講演をする予定ですが、ちゃんと今回の講演と内容が被らないようにしないと。。。。





2018年10月1日月曜日

ノーベル医学生理学賞に京大・本庶佑特別教授 ー乾癬との関連ー

京都大学の本庶佑先生が、PD-1の研究で、画期的ながん免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤)である「オプジーボ(ニボルマブ)」の開発でノーベル医学生理学賞を受賞されました。きっと今年は受賞されると思っていたので、日本人として嬉しいです。さて、このPD-1の研究ですが、現在は非常に幅広く行われております。皮膚科への影響も非常に大きな貢献でありまして、以前の治療法では難しかった悪性黒色腫の治療ですが、今では当科でも「免疫チェックポイント阻害剤」を使用して治療に当たっております。このように、最初のPD-1発見時は何の役に立つかも分からなかったという基礎的な研究が、最終的に臨床応用ー日本でも保険適応ーくらいまで行くとノーベル賞になるという、なんだかノーベル賞のお手本のようなお話であります。
ちなみに、私の研究内容の中に、この抗PD-1抗体の副作用として、かえって乾癬が悪化するメカニズムを解明したというものがあって、同じ事を研究していた韓国のグループよりも半年早く論文発表させていただいております(Imai Y, PD-1 regulates imiquimod-induced psoriasiform dermatitis through inhibition of IL-17A expression by innate γδ low T Cells, J Immunol, 195,421-425, 2015)。免疫が活性化する薬なので、ついでに乾癬が出てきても仕方ないってことですね。この話のポイントですが、ちゃっかり本庶佑先生からPD-1ノックアウトマウスを分与していただいて、ちょっと実験を行っただけ、ということです。このように、研究というものは、以前のすばらしい研究業績の上に、少しづつ積み上げられていくものです。このような星の数ほどある研究の土台となっている「ブレイクスルー」な研究がノーベル賞になるのだという、本当に、「どんな発見がノーベル賞なの?」という答が、これほど明確であるような研究はないと思います。

・・・ちなみに、本庶佑先生が発見したPD-1に対する抗体と、同時にノーベル賞を受賞したジェームズ・アリソン先生が発見したCTLA-4に対する抗体は別の仕組みで癌に効くので、悪性黒色腫の治療としてこの2つの薬を同時に投与するという最強の治療法があります(日本でも保険適応、当科でも使用可能)。特に、抗PD-1抗体では効果が弱いタイプの悪性黒色腫に対しては、この同時投与によってPD-1抗体が効くようになることが判明しており、ほんの数年で、皮膚科の悪性黒色腫の治療も大幅に進歩したと思います。少し前までは「手術の達人」であることが悪性黒色腫の治療では大切だったのに、今では「免疫学チェックポイント阻害剤の副作用管理=ほぼ膠原病内科?」の、いわゆる免疫学をちゃんと理解している医師であることも悪性黒色腫の治療では大切というように「常識」がひっくりかえってしまったのですが、なにせノーベル賞というのは、それだけのインパクトのあるものだと思います。





2018年9月21日金曜日

The Journal of Investigative Dermatologyに論文が掲載されました


今井がLast authorの論文が、皮膚科でもっとも権威のある雑誌の一つである米国The Journal of Investigative Dermatologyに掲載されました。短いレターですけど。

内容は、例によって東海大学皮膚科教授の馬渕 智生先生の実験の流れを継いだ研究です。一般的にはイミキモドはTLR7を介してIL-23を誘導すると考えられていますが、面白いのは、アルダラを外用するモデルでは、一般的にイミキモドの受容体であるTLR7のノックアウトマウスではIL-23が枯渇しても、それでもなお、乾癬が発症してしまうので、そう話は単純ではない、というところだと思います。

(原文)
Yu S, Wu X, Zhou Y, Han D, Anderson LS, Simon SI, Hwang ST, Imai Y*, Is CCR6 required for the development of psoriasiform dermatitis in mice?, The Journal of Investigative Dermatology (2018), doi: 10.1016/j.jid.2018.07.036.

*Department of Dermatology, Hyogo College of Medicine, Nishinomiya, Japan

2018年9月18日火曜日

乾癬学会で発表・座長をしてきました。


1年に1回の乾癬学会に参加して参りました。

去年との違いは、やはりの治療の要求レベルが上がったということです。
数年前までは、かなり皮膚炎がましになればOK、だったはずなのに、今は、バイオ製剤などがあるのだから、乾癬は皮膚炎がほぼゼロまで改善させるべし、というのが当然という雰囲気になってきていました。

ただ、これは開業医の菅井先生のご意見ですが、乾癬の治療が二分してしまっている。つまり、軟膏を処方するだけの開業医と、バイオ製剤を主体とした病院で、目指すゴール(ちょっとマシになればOKなのか、皮膚炎が完全にゼロになるのか) ですら異なってしまい、やっている治療や考え方も違ってきてしまっている、という指摘でした。

確かに、そういう指摘は正しいと思います。
当院では、どちらかというと、バイオ製剤などを駆使して乾癬の皮疹がゼロになるのを達成することを目指す、という方針になってきます。

デュピクセントのQ&Aをまとめました。


1. 「デュピクセント」注射の保険適用は?

 アトピー性皮膚炎でデュピクセント(一般名デュピルマブ)が保険適用になるには、単に皮膚炎が悪いだけではなく、半年以上ガイドライン通りに加療されている(例:強いステロイド外用薬を半年以上、十分量に処方されていることが薬手帳や紹介状で確認できる)などの諸条件が必要です。そこで、保険適用になりそうかどうかは、いったん受診していただいてから、担当医の判断(皮疹の重症度判定など)になります。保険のルールがとても難解なため、メールや電話で、保険適用について、ご説明することはしておりません。

2. 「デュピクセント」注射の投与間隔は?
 アトピー性皮膚炎でデュピクセントは、2週間(14日)ごとに皮下に注射します。今のところ、2週間に1回の通院が必要です。製薬会社によると、投与16週後までに約70%の患者さんが強い皮膚炎がほぼ無い状態(EASI75達成)になると報告されています。

3. 「デュピクセント」注射の副作用は?
 従来アトピー性皮膚炎で主流だったシクロスポリン内服と比べると、感染症のリスクは少ない可能性が報告されています。B型肝炎などの感染性疾患をお持ちの方でも原病が制御されているなら投与可能です(元の感染症が悪化しないかの監視は必要です)。なお、原因不明の副作用としてはアレルギー性結膜炎の悪化が指摘されており、当院眼科と連携して加療を行います。

4. 「デュピクセント」注射の値段は?
アトピー性皮膚炎のステロイド剤が安価なのに対して、きわめて高額です。3割負担の患者さんの場合、1ヶ月5万円程度かかりますので、1年投与すると60万円の自己負担額となります。

5. 「デュピクセント」注射はいつまで続けるの?
アトピー性皮膚炎は一定確率で寛解・治癒する疾患です。従って6ヶ月程度の期間の寛解の維持が得られた場合には、注射はいったん終了します。

6. 「デュピクセント」を注射すれば、ステロイド外用薬は塗らなくてもいいの?
いいえ。私はよく、デュピクセントを使えば、ステロイド外用薬の効果が2倍になる、という説明をしています(正確には間違ってますが・・・)。本当は外用しなくても半分くらい効く(=皮膚炎が半分くらいに改善する)のですが、それではアトピー性皮膚炎が完治しません。ステロイド外用薬と併用してこそ、皮膚炎がほとんど無い状態を目指せるという薬になります。したがって、患者さんの協力無しに、この新しい治療は成立しません。ですから、今通院中の皮膚科から処方されている外用薬はそのまま続けながら、当院にも通院してデュピクセントも併用するというイメージになります。


なおデュピクセントは別に当院だけ行っている特殊な治療では無く、兵庫県内の種々の施設で投与可能な、日本の保険適応のある治療法です。これ以外にも、シクロスポリン内服など、様々な治療手段がアトピー性皮膚炎にはあります。

2018年8月15日水曜日

結婚のご報告

別に私が再婚するとかいう話ではありません(笑)

皮膚科医をしていて、嬉しい瞬間はいろいろありますが、重症の皮膚炎・乾癬であった患者さんが、ほぼ引きこもり状態から・・・最新の治療であるバイオ製剤などで皮疹が軽快し、気持ちも明るくなって・・・結婚しました!!と報告を私に頂けるわけです。これは、最近、男女とも、ありました。その他にも、就職できていなかったのが出来たとか、似たような嬉しい話は、色々あります。(ただし・・・逆に、何をしても治らない皮膚炎があるのも、残念ながら事実ですし、80%の患者さんで皮疹がゼロになる乾癬の治療と言っても、残り20%の患者さんには効いてないじゃないかというのも、また事実であります。)

あと、皮膚炎の治療なのにこんなに高コストなの?保険が効いてこの値段?とか言われることもあるのですが、やはり、その患者さんごとによる、としか言えないと思います。皮膚炎を改善することで「やりたい目標」は患者さんによって異なるわけですが、彼女/彼氏が欲しいからがっつり治療を頑張るというのも、まったく構わないと思っております。


2018年8月12日日曜日

乾癬の論文がJIDにアクセプトされました!


今井の、乾癬の論文がJIDにアクセプトになりました(共著、 MS# JID-2018-0264.R2)。

まだ受理の連絡が来ただけで最終校正も終わっておらず、詳細は、またPubMedから見られるようになってから再度アップロードしようと思いますが、簡単に書くと、CCR6というケモカイン受容体が乾癬の病態に関与しているという内容です。

お陰様で当皮膚科は、阪神間では有数の乾癬患者数を誇る「乾癬外来」を開設しているわけですが、さて、そんなケモカインの研究、日本でしてたっけ?という話なのですが、実は、この論文の内容は、私がアメリカ留学中に途中で終わってしまった研究になります。その後、後任のセバスチャンが最後まで引き継いでくれて、論文のリバイスの実験もやってくれ、無事に論文受理まで、たどり着くことができたというわけです。帰国後は私はああして欲しいとメールで要望を書いていただけなのですが、これで私がアメリカ(ウィスコンシン医科大学)の皮膚科に在籍している間に参加していたプロジェクトが5本とも、すべて論文になって、データを無駄なくすべて論文に出し切った!!ということで、、、前のボスであるサム教授には、とにかく研究の成果は全部論文にするのだ、ということを学んだ気がします。それぞれ、J Immunol, PNAS, Sci Rep, JIDなど、それなりにインパクトファクターの高い雑誌に掲載されてきており、たいへん勉強になったと考えています。また、最後まで粘り強く研究を継続してくれた、後任の先生には感謝しかありません。









2018年8月3日金曜日

東京でアトピー性皮膚炎の講演を行いました



先週末、第83回 日本インターフェロン・サイトカイン 学会学術集会 (The 83rd Annual Meeting of the Japanese Society of Interferon & Cytokine Research)でアトピー性皮膚炎の講演させていただきました。

学会会場は秋葉原だったのですが、特にAKB劇場?バッティングセンター?などに行く時間もなく、純粋に学会参加だけでした・・・
私の講演内容なのですが、サイトカインとアトピー性皮膚炎の話を、主に基礎医学の先生にさせていただきました。要するに、サイトカインの仕組みが解明されてきたことで、原因物質だけを押さえる画期的な抗体製剤(バイオ製剤)が次々に誕生しているということです。そして、ついにアトピー性皮膚炎も、バイオ製剤が発売になっています。

新薬デュピルマブは、アトピー性皮膚炎の原因であるサイトカインを抑制するバイオ製剤です。実際に、非常に開業医の先生方からご紹介をたくさん頂いておりますが、初月7万円、それから毎月5万円と説明しますと、かなりの患者さんが、やっぱりやめておきます、となります。
先生方におかれましては、非常に高額な薬であることも、あらかじめご説明しておいていただけると、ありがたいです。よろしくお願いします。
・・・しかし、それにしても高い薬ですね。乾癬のバイオ製剤より、アトピー性皮膚炎のバイオ製剤のほうが値段が高いです・・・

薬の値段が高いのは、これでもマシというのですから驚きです。これでも、デュピクセントの場合、イギリスやドイツの半額、アメリカの1/4の値段に設定されています。
一般的に日本で医療にかかると、アメリカの1/10〜1/20程度の技術料しか請求されませんが、薬剤費はそこまで差が出ないようです。同じ製品なので当たり前かもしれませんが・・・。





2018年7月18日水曜日

神戸でアトピー性皮膚炎の講演を行いました

先週土曜日、神戸で(ローカルです)、神戸大の福永先生、鷲尾先生、西宮でご開業の原田先生、そして九州大の中原先生とご一緒に、アトピー性皮膚炎の基礎的な内容の講演を行いました。

で、自分の講演内容はともかく、諸先生方の講演を拝聴して個人的に考えたのは・・・結局、ストレスのせいでアトピー性皮膚炎になるというよりも、アトピー性皮膚炎そのものがストレスの原因、患者さんは治療の結果に満足していないことが多い、ということで、しっかり治療をしないといけないということを再認識しました。やはり当院の「乾癬アトピー外来」としては、外用剤はもちろん基本なのですが、シクロスポリン内服や、デュピクセント注射などをメインに、がっつりとアトピー性皮膚炎を治療していく方針が良いと考えております。強力な治療なので、副作用または高額な治療にはなってきますが。


2018年6月18日月曜日

内科の先生にお願い。まずは近くの皮膚科クリニックに紹介してください。

内科の先生にお願いです。

普通は大学病院の皮膚科は、皮膚科クリニックさんから患者さんをご紹介いただくことが、ほとんどでした。
ところが・・・ここのところ、軽症の皮膚病患者さんが開業の内科クリニックさんから直接、兵庫医大皮膚科に紹介されてきてしまう例が激増しています。
内科の先生がどこまで皮膚科に詳しいかは幅があるので何ともいえませんが(皮膚科が得意な内科の先生もたくさん存じ上げております)、明らかに紹介元の内科の先生がまったく皮膚科の基本的な知識がないのだと推測できるレベルの症例、つまり、普通に隣の皮膚科クリニックに行ってもらったら解決するような一般的な皮膚症状の紹介が、内科から相次いでおります。これは非常に好ましくありません。3時間も待ったのに処方が軟膏1本だけ?などと、トラブルの原因にもなります(でもそれで治るわけですが・・・)。大学病院の使命は難治な患者さんや入院加療を必要とする患者さんの治療です。明らかに見た目は軽症なのになぜか難治という皮膚病は、それは診断が間違っているだけである可能性が高いですから、もし可能でしたら、まずは、お近くの皮膚科クリニックにご紹介下さい。普通の皮膚科の医者がみたらなんてことはない、という例がきっと、ほとんどなのだと思います。大変申し訳ありませんが、ご理解のほどお願いいたします。

・・・でも、すごい皮膚科が得意な内科の先生もいらっしゃるので、絶対に内科から紹介状は受け付けないとかいう意味では決してございません!内科のX先生、いつもご紹介ありがとうございます。

2018年6月17日日曜日

新しい乾癬の治療薬の発売です。

 今日の話題は、乾癬の新薬です。

 乾癬は毎年新薬が出るホットな分野なわけですが、このたび、新しい乾癬の注射の治療である「トレムフィア」が新発売となり、兵庫医大 皮膚科 乾癬外来でも使用可能となりました。いままでのバイオ製剤で最も投与間隔が長かった薬は「ステラーラ」で、3ヶ月に1回の投与ですが、「トレムフィア」はそれに近い、2ヶ月に1回の投与という注射薬になります。効果はステラーラよりも高いというデータなのですが、通院間隔が短くなってしまうので、実情としては一長一短ということになります。乾癬の治療で日本でも保険適応のある注射薬がこれで7剤になりましたが、当院の乾癬外来では、この7剤すべての投与に対応しております(7剤すべて、投与実績がございます)しかし、結局どのバイオ製剤も一長一短なので、どの薬にするのかは、患者さんと一緒に相談しております。いずれにしても、注射のバイオ製剤ですとヒュミラやルミセフのように2週間に1回注射というのがスタンダードなイメージがあるかと思うのですが、忙しい患者さんには2ヶ月に1回とか3ヶ月に1回の通院で済む注射のバイオ製剤もあります(しかも土曜日に投与可能です)ので、諸先生方におかれましては、お仕事で忙しい患者さんでも当院にご紹介いただければ幸いです。

保険が効く乾癬のバイオ製剤(注射)7剤リスト(医師向け)

トルツ
ルミセフ(←このリンクをクリックした先のページで「医師」をクリックしてからいったん戻り、再びこのリンクをクリックしてください)
トレムフィア


2018年6月13日水曜日

アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインが一般公開されているのはご存じでしょうか?

最近妙に、アトピー性皮膚炎の不適切治療が復活してきていると感じており、とても残念です。アトピー性皮膚炎はガイドラインや治療手段が確立された疾患であり、ここ最近5年はガイドラインによる標準的な治療もすっかり浸透し、本当にひどいアトピー性皮膚炎が激減したなと感じていたはずなのですが・・・そうでもなかったようで。正確に言うと、大手検索サイトのトップページの記事をはじめ、不適切なアトピー性皮膚炎の情報が今年からインターネット上に激増していると思います。ネット上で不適切な情報を増やすことで、わざと適切な情報を覆い隠すイメージでしょうか・・・せっかくの標準治療から患者さんをわざと不安にさせて引き剥がそうという記事が氾濫していると感じます。つまり、もはやアトピー性皮膚炎の患者さんはネットは見ない方がいい?くらいの状態になっている気がします。また、アトピー性皮膚炎の患者さんは、患者さんと患者さんで(SNSなどで)話をすると、なぜか間違った方向性に行ってしまう、またはそのようなアトピー系SNSに悪徳業者が紛れていることがあるようです。

では正しい情報はネットのどこにあるかというと、例えば、アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインはネットで誰でも読めます(こちら(ただし近日アップデートされる予定です)。これを読んでいただければ、概ね、どのような情報が無茶苦茶なのかは一目瞭然となりますので、患者さんの持ってくる不適切な話に振り回されないですむと思います。確かに、医療には必ず例外があって、保険適用外の治療がどうしても必要になることや、アトピー性皮膚炎以外の内科疾患のある患者さんの場合には使いたい薬が使えないこともあるなど、必ずしも全例がガイドラインで提唱されている治療ができるわけでもありませんが、最近時々内科の先生から連絡を頂くので、、、、ついでに皮膚科も診察されている内科・外科の先生方におかれましては、ぜひ皮膚科のアトピー性皮膚炎のガイドラインを、ご一読いただければ幸いです。




2018年5月29日火曜日

日本皮膚科学会総会で乾癬の講演をします

今週開催される、日本皮膚科学会総会で乾癬の講演をします(117 日本皮膚科学会総会(2018年6月1日金曜日) LS6-3,会場:リーガロイヤルホテル広島)

内容は、生物学的製剤の副作用について概説しようと考えています。

もはや、バイオ製剤が有用なのは当然なのですが、どうしても副作用や特徴を考えると、それぞれのバイオ製剤に向き、不向きがあります。

例えば、TNF阻害剤は、脱髄疾患やうっ血性心不全のある患者さんには適しておりません。ではIL23阻害剤はというと、兵庫医科大学皮膚科のバイオ製剤外来は土曜にも行っておりますが、土曜日希望の患者さんはお忙しい方が多いので、どうしても2ヶ月に1回投与のトレムフィアや、3ヶ月に1回投与のステラーラを選択してしまいがち・・・・しかし、糖尿病がある患者さんの場合は、ステラーラは効果が弱くなってしまうので、あまりお勧めできません(糖尿病が悪化するという副作用があるわけではありません)。

こように、バイオ製剤は7種類もありますので、よく、どれが一番良いのかと他の先生から聞かれるのですが、これが何ともどの製剤が最適化は、患者さんごとに異なるとしか言えませんので、究極の乾癬の治療法はまだまだ無いというところなのかもしれません。全員この薬でOKというものがあれば、診療はとってもラクなのですが、決してそうではないのです。


2018年5月27日日曜日

国際研究皮膚科学会でシンポジウム発表しました(米国フロリダ州)




 米国フロリダ州で開催された国際研究皮膚科学会(IID2018)でアトピー性皮膚炎とサイトカインについて発表してきました。この学会は、5年に一回、米国・ヨーロッパ・日本の研究皮膚科学会をわざと中止して世界で1カ所だけの開催とする、世界最大の研究関連皮膚科学会です。発表内容については、けっこう理解していただけたような質問もいくつかいただき、良かったと思います。
 また、乾癬ならびにアトピー性皮膚炎のバイオ製剤の最新の情報も勉強してくることが出来て、とても有意義でした。乾癬は日本では珍しい疾患ですが、アメリカでは日本のアトピー性皮膚炎なみにありふれた疾患で情報が豊富です。(日本でも、さらに新しい乾癬のバイオ製剤や、新しい外用剤が新発売になりました。)

さて学会会場ですが、フロリダの真ん中で、学会会場からの眺めはご覧の通り、何も無いといか、非常に美しくアメリカらしい景色(下の写真)を堪能し、帰国しました。

2018年5月9日水曜日

秘書さん、実験補助さんを募集しています

秘書さん&実験補助さんを募集しています!

<医局秘書>
※皮膚科実験補助さん募集は画面の下の方にあります。

医局・教授秘書の新規募集のお知らせです。
人の役に立つことが好きな方を歓迎します。
さらなるレベルアップを目指している方、秘書未経験の方でも歓迎します。20歳代の方でも、活躍できる職場です。ともに成長しましょう!

〈募集内容〉
・本年6〜8月より勤務(開始時期は要相談)
・平日/9:00〜17:00(休憩1h)
 第1,3土曜日のみ/9:00〜12:00
 ※週3〜4勤務 
 ※勤務曜日・時間 応相談 週30時間まで 
 ※雇用期間最長5年
・交通費支給
・昇給あり
・社会保険完備(週20時間を超える場合)
・時給900円〜 本学規定による
・大学生可、新卒可。
・医局秘書経験者可。

〈仕事内容〉
電話対応、書類作成やデータ入力作業、物品発注・管理等
PC操作、書類作成(メール、Word、Excel、手書き)

<履歴書送付先・問い合わせ先・勤務地住所>
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1 兵庫医大皮膚科 秘書 
電話:〇七九八-四五-六六五三
必ず履歴書をお送りください。
封筒には「医局秘書応募書類在中」と書いてください。 
履歴書をWORDまたはPDFファイルで送信することをご希望の方は、各種ウェブ応募可能サイトを経由してお送りください。


<実験補助>

仕事内容(業務内容、担当科目等)]
実験動物(マウス)の維持管理や臨床検体の維持・管理を中心に、免疫学的実験、形態学、分子生物、生化学、細胞培養実験にも参加していただけます。

[機関の説明(募集の背景、機関の詳細、プロジェクトの説明等)]
 当該講座では、皮膚疾患の病態解明と新規診断治療法の開発を目指し、様々な研究を行っています。
 当科で行っている実験・業務には、臨床検体や医学情報の保管管理、実験動物の維持管理、免疫組織化学、電子顕微鏡試料作成、観察、二光子レーザー顕微鏡観察、分子生物学、遺伝子組換え、免疫学的実験、生化学、培養細胞などがあります。

[必要技能]
理系、薬学系、生物・化学系、臨床検査、栄養系などに関連する大学を卒業し、ピペット操作をしたことがある方。卒後、企業、病院、大学、研究所等で医学・生物系実験の経験がある方、なお可。ブランク可、未経験でも可。 

[勤務地住所等]
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1

[募集人員]
1名

[着任時期]
応相談 

[待遇]
学校法人兵庫医科大学の支給基準に基づき支給(時給 1,000円〜1,500円。年齢,経験により決定)

勤務日:週3〜5日(応相談)
勤務時間:9時〜17時の間で6時間程度
     (曜日と時間は応相談、週30時間まで。)
休日:土曜(隔週)、日曜、病院が休みの祝日

勤務例: 9:30〜14:30 週4日(月火木金)時給1,100円、月収88,000円(年収106万円)

※扶養の範囲内でお仕事されている方が多いです。
※ブランクがあった方でも活躍されています。 



応募
方法
[応募方法(書類送付先も含む)]
履歴書(写真貼付)
※これまでの研究補助の実績があれば記入して下さい。
※不採用の場合、応募書類は返却しません。

[選考内容(選考方法、採否の決定)、結果通知方法]
書類選考と筆記試験、面接

[連絡先]
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1−1
兵庫医科大学 皮膚科学 秘書 気付 
医局長 今井康友 宛 

電話:〇七九八-四五-六六五三
※応募書類は郵送でお願いします。封筒には「実験補助応募書類在中」と書いてください。

2018年4月28日土曜日

今井の乾癬に関する論文が掲載されました(共著)


アメリカ留学中にやっていた仕事の一つが、やっと今頃になって論文掲載(共著)されました(どれだけかかっているのやら・・・)。

乾癬による皮膚炎が、脳に及ぼす影響研究ですので、あまり皮膚科医には興味は無いかもしれませんが。fMRIを用いて脳機能計測を行っています。実はステロイド外用するだけで脳みそはハッピーに戻ってますが、このあたりも面白い結果だと思っています。

原著(英文)
http://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/2475530318763617

2018年4月18日水曜日

アトピー性皮膚炎にもバイオ製剤が発売です

当科では、重症の乾癬患者さんにバイオ製剤の注射を行い、かなりの患者さんで皮膚炎がほとんど無くなるという結果を得ております。しかし、アトピー性皮膚炎では、今までシクロスポリン内服くらいしか強力な治療がなく、どうしても難治な患者さんがたくさんいらっしゃるのも事実でした。この度、まったく新しいアトピー性皮膚炎のバイオ製剤「デュピクセント」が新発売の予定となり、患者さんから問い合わせも来ている状態です。

ついに、乾癬だけでなく、アトピー性皮膚炎にもバイオ製剤が発売になるわけです。
当院としては「既にバイオ製剤の投与経験が豊富である」という利点を生かして、アトピー性皮膚炎の診療に生かしていきたいと考えています。

簡単に説明すると、ステロイド剤は炎症を広く浅く抑える薬ですが、バイオ製剤はその皮膚炎の原因物質だけを特異的に抑えるため、安全性と効果の両方に優れるということになっています。ですから、アトピー性皮膚炎のバイオ製剤は乾癬に効かないし、乾癬のバイオ製剤はアトピー性皮膚炎には無効という点も、免疫学的な特徴になります。

そして、そのアトピー性皮膚炎のバイオ製剤の効果ですが、治験の結果は圧倒的で、EASIスコア変化率が投与16週で-80.1%です。4ヶ月でアトピー性皮膚炎の80%が消えるという、今までどの治療も到達できなかった領域が開かれました。

しかし・・・とてつもない問題点が2つもあります!!
この2点をあらかじめ患者さんにお知らせしておいたほうがいいかもしれません。。。

1)治療期間は最低でも半年間を予定していますが、この間は、2週間ごとに注射に通院しないといけません。それだけ通院時間が確保できるかどうか・・・ということですね。

2)高い!3割負担で自己負担が、5万円/月です。・・・あまりに高いので医療費控除の適応になり、税金が返ってくるので、5月から約半年使ったと仮定して適当に概算すると、確定申告後は所得の低い方で4.3万円/月の負担、報酬月額81万円以上の方で3.8万円/月の負担・・・くらいになると思うので、なぜか高額所得者のほうが医療費が安くなるという、なんだか納得いかない計算結果になるようです。


現在当院皮膚科でもアトピー性皮膚炎のまた別のバイオ製剤を治験中ですが、先生方のご紹介のおかげで多数の患者さんをご紹介頂き、新規の治験は6月中旬で締め切り予定です。今後も、アトピー性皮膚炎のバイオ製剤は治験の治験があればお知らせしますので、難治性のアトピー性皮膚炎患者さんのご紹介をよろしくお願いします。皮疹が全身で重症な方だけではなく、顔のアトピー性皮膚炎が難治な患者さん、また痒くて夜中に目が覚めるといった患者さんも、これらの新薬・治験薬の対象になってきます。

追記:単にステロイド外用剤を塗布したくないだけという患者さんは、新薬の適応外ですので、当院にご紹介なされませんよう、お願いします(皮膚萎縮など、外用できない理由がある患者さんは別です)。この新薬の「デュピクセント」は、ステロイド外用剤と併用するのが基本になっています。

 今まで難治性疾患の代表だった乾癬がバイオ製剤で皮膚炎がきれいになるようになったのと同様、アトピー性皮膚炎も難治性疾患からバイオ製剤でほとんどの症例がきれいになる時代が来つつあるのかもしれません。私の外来でアトピー性皮膚炎が良くなって、ずっと(卒業してからずっと10年以上)皮膚炎のせいで無職だった患者さんから、ついに働き始めましたという報告を聞くというのが何より嬉しいので、アトピー性皮膚炎の新しい治療が出てきたことは本当に画期的だと思います。あとは、値段がせめて半額、いやもっと安くなるといいのですが。。。。









2018年4月10日火曜日

当院の乾癬バイオ製剤外来:初診を予約することができます。

おかげさまで、当院皮膚科は乾癬とアトピー性皮膚炎の乾癬患者さんのご紹介を多数頂いております。特に、乾癬のバイオ製剤を使った治療では、阪神間トップクラスの患者数となっております。

ただ気になるのは、最近、医師の紹介状なしで乾癬外来を受診される乾癬患者さんが増えております。皆さん、長年の乾癬皮疹に苦しんでおられて、それがバイオ製剤の注射で皮膚炎がきれいになるという話を既に情報収集された後で受診されております。ほとんどの患者さんが最初から、バイオ製剤の注射をご希望という状態で受診されることが多くなっております。さらに、場合によっては非常に詳しい知識をお持ちの患者さんも多く、ネットで何でも検索できる時代になったと感じます。

・・・しかし、お近くのクリニックから紹介状を書いていただき、初診をご予約のうえ、受診された方が約5000円お安くなり、いきなり受診されるよりも医療費が安くなる仕組みになっています。
 
 また、乾癬のバイオ製剤に対応している医師の診察日は月曜日と木曜日と一部の土曜日だけになっておりますので、曜日を指定して初診を予約をしませんと、ほかの曜日に受診されたせいで受診し直しとなってしまって、患者さんにご迷惑をおかけしていることもございます。

諸先生方におかれましては、お手数ですが、当科における専門外来の趣旨をご理解いただき、当院のFAX予約をご利用になられますよう、重ねてお願い申し上げる次第でございます。


2018年2月27日火曜日

今井の総説が、日本皮膚科学会雑誌に掲載されました

兵庫医大皮膚科では、非常に多くの乾癬の患者さんが多く通院されておりますが、実は、アトピー性皮膚炎の診療も積極的に行っております。今井が執筆したアトピー性皮膚炎の研究に関する総説が、日本皮膚科学会雑誌の今月号(128巻第2号=2018年2月20日発行)に掲載されておりますので、お持ちの先生は、是非ご覧ください。また、重篤な乾癬患者さんと、アトピー性皮膚炎患者さんには、新しいバイオ製剤などの新薬(保険適用のもの、治験のもの)がございますので、ご紹介のほど、よろしくお願い申し上げます。




2018年2月25日日曜日

眼科の講演会でアトピー性皮膚炎について講演してきました

今井です。
あまり無いパターンなのですが、眼科の講演会に講師として呼んで頂きました。メイン講師は、あのアレルギーで有名な眼科医の、深川先生です!!
アトピー性皮膚炎を診察する皮膚科医が最も気にするのは、眼症状のケアではないでしょうか?要するに、ちゃんと眼科に行ってくれない患者さんに苦労するということです。これは逆もあって、眼が見えなくなったので眼科には行くんだけど、皮膚のアトピーはどうせ治らないから(どうせステロイドが処方されるだけだから)皮膚科には行かないという患者さんもいるようです。

いえいえ、時代は進歩して、様々な治療がアトピー性皮膚炎にはございます、ということが眼科の先生にも興味を持って頂けたようで、非常に嬉しく思います。また、このように、他科から講演の機会をいただけることも、非常に感謝しています。





2018年2月22日木曜日

妊婦の乾癬 「道端アンジェリカ、第1子妊娠を報告」

モデルの道端アンジェリカさんが自身のインスタグラムで、第1子妊娠を報告したそうです。道端アンジェリカさんは、昨年自身の乾癬のカミングアウトをされて皮膚科医の間で有名になっています。

ということで・・・時々、妊娠中の乾癬の増悪や、妊婦さんの膿疱性乾癬について、日本皮膚科学会評議員レベルのご高名な先生から、わざわざ対応の御相談を頂いたりしておりますので、今日は「妊婦の乾癬」について、少し書きたいと思います。そう言えば、ミヤネ屋の放送の中では、妊娠中の治療については宮根さんからは何も聞かれませんでしたね。

そもそも、妊娠中は使える薬が限られます。特に「チガソン」という薬は、妊娠中には使えません。また、レミケードなどは、胎盤移行性があり、新生児に問題が起きることも報告されています(赤ちゃんの免疫抑制での感染例)。
しかし、逆に妊婦さんにも安全に使用できる可能性が高い治療法として、胎盤移行性の少ないバイオ製剤だけでなく、当科では、妊娠中に内服可能な薬剤に加え、顆粒球単球吸着療法(granulocyte and monocyte adsorption apheresis:GMA)を積極的に行うなど、妊娠中の乾癬患者の治療経験を持っております。ただ、GMAは、どの施設でも実施できるわけではないのが現状です。妊婦の乾癬でお困りの先生は、乾癬外来まで御相談下さい。


2018年2月11日日曜日

アトピー性皮膚炎治療研究会で講演させていただきました。


いつもブログを拝見してくださるご開業の先生方、ありがとうございます。

大変有り難いことに、埼玉医科大学皮膚科の中村晃一郎先生を会長とするアトピー性皮膚炎治療研究会第 23 回シンポジウムで、アトピー性皮膚炎の再診の研究知見と治療に関して、講演させていただきました。

また同時に、東京慈恵会医科大学小児科の堀向健太先生と、かなり長時間お話できる機会を得ることが出来ました。堀向先生は小児科ですので、生後数ヶ月以内の赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の患者さんを診療する機会が多いことを生かし、新生児期からの保湿剤の塗布がアトピー性皮膚炎の新規発症を抑制することを科学的に証明した先生です。

この学会に参加して個人的に勉強になったことも多く、例えば、国際的な評価基準が統一され、今後は皮疹の評価として SCORADではなくEASIを用いることになったわけですが、その投票結果が90%対7%で圧倒的な差でEASIを用いるという国際的なコンセンサスに至ったそうです。これほどまでに差があるとは思っていなかった(国内ではSCORADを使用している先生も多い)のですが、もっとも、乾癬患者さんが圧倒的に多い私の外来ではPASIスコアを毎回付けているので、PASIに慣れた私にとってはEASIのほうが付けやすいです。乾癬のバイオ製剤とアトピーのバイオ製剤の両方の投与経験から言うと(個人的な経験であって医学的根拠はありません)、アトピーのバイオ製剤は乾癬より効かないというわけではなく、これはスコアの性質が異なるせいであって、極端な言い方をすると、PASI75達成=EASI50達成くらいのイメージで文献をとらえると良いかと個人的には考えています。

アトピー性皮膚炎患者さんは(乾癬もですが)、ストレスで皮疹が悪化というよりも、皮膚炎で痒いことそのものがストレスなわけですから、やはり、しっかり本気で治すということが大切だということを再認識しました。

アトピー性皮膚炎は、いろいろ新しい治療法が登場するため、今、皮膚科では話題の疾患です。当院でも重症のアトピー性皮膚炎の患者さんに対する抗IL-13抗体の治験を実施中(まだエントリー可能ですが、18歳以上のみ)ですし、抗IL-31受容体抗体の治験もありますし(こちらは重症ではなくてもエントリー可能。13歳以上)、この春にはバイオ製剤の市販も予定されています。


諸先生方におかれましては、いつも重症の乾癬患者さんをご紹介いただき、ありがとうございます。引き続きまして、治験にエントリーできそうな重症のアトピー性皮膚炎の患者さんも、ご紹介のほど、よろしくお願い申し上げます。なお、治験にエントリーできなくてもアトピー性皮膚炎患者さんへのシクロスポリン内服療法も積極的にさせていただいております。

2018年1月31日水曜日

アトピー性皮膚炎治療研究会で講演します


最近は乾癬の講演依頼が多く、12月(熊本)、1月(高知)と講演させていただましたが、このブログは「乾癬とアトピー」のブログですので、アトピー性皮膚のことも書きたいと思います。

来週ですが、2018年2月11日、アトピー性皮膚炎治療研究会第 23 回シンポジウム(埼玉、ソニックシティホール)にて、 「アトピー性皮膚炎の最新の研究知見と治療 」というタイトルで講演させていただきます。

乾癬はバイオ製剤の登場によって、皮膚炎をほとんどゼロにすることが可能となった一方で、アトピー性皮膚炎ではまだそうではありませんでした。ところが、アトピー性皮膚炎においても、画期的な効果のある新規バイオ製剤が今春に保険適用となる予定ですし、さらに新規のバイオ製剤(本邦未認証)を用いたアトピー性皮膚炎の治療薬の治験も、兵庫医大で現在行っております(まだ治験に参加してくださるアトピー性皮膚炎患者さんを継続で募集中です。ただし来院が2週おきに必須ですので、忙しい方には向いていませんでした・・・そこで、さらにこの春からもう1剤、アトピー性皮膚炎の治験を開始する予定です。どんどん新薬が出てきます)。

つまり、乾癬の治療がこの1〜2年で大幅に進歩したのと対照的に、今まで何年も新規治療薬がなかったアトピー性皮膚炎の治療が、この春からの数年間で大幅に変わるものと予想しています。このような明るい未来について、また兵庫医大で行ってきた研究内容について、講演させていただく予定となっています。

・・・ところで明日は大阪で講演会があって神人先生や今福先生のお話を聞きたいのですが、実は自分の講演会が奈良である(内容は、アトピー性皮膚炎とアトピー性角結膜炎)ため、聞きに行けないのが残念です・・・

2018年1月3日水曜日

ホッと!HANSHINに掲載されました

ホッと!HANSHIN 2018年 1月号(12月25日発行)に湿疹に関する今井の記事が掲載されました。なお、ホッと!HANSHINとは、阪神電車の各駅に置いてある、無料ニュースペーパーです。阪神電車の駅でぜひご覧ください。今月号は阪神タイガースの大山選手(特集は「行こっか、初詣」)が表紙に載っています。

※兵庫医科大学病院は阪神電車「武庫川」駅の駅前にある病院です。駐車場があるので遠くからも来院されますが、阪神沿線の患者さんも多いです。